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本社・米国子会社間の移転価格調整・送金・費用負担
米国子会社を設立後、親会社・本社が資本金とは別に子会社の運営費・経費をしばらく負担するケースが多い。また設立において資本金の出資をあまりせず、親会社からの送金で米国子会社を賄おうとするケースも見られる。
子会社に駐在員を出向または現地雇用を計画している場合を含め、開設当初の資本金、定期的に親会社が子会社に送金する際には何を考えるべきなのか?
1)物を販売し、その対価が発生する場合
『物流において、本社が実際に米国子会社に物を販売(輸出)し、その対価として子会社→本社へと資金を送金する場合、その額はどのように決められるべきか?』
原則として、本社が販売をする際、自社の関連子会社への販売と、第三者への販売の条件に変わりがあってはならない。
子会社であるがゆえに本社が利益を不当に取るような価格設定は、仕入れる国税、米国IRSの移転価格調査・監査の対象となる。逆にその設定が低すぎても、日本の国税の調査対象になりかねない。
ただ、”第三者への販売条件”と言っても、販売先によって様々異なるため、移転価格調査を行い、その調査報告書を準備ください。通常、同業他社が同類の取引を行った際の利益率、上限下限の相場以内に収まっていることが条件になる。
(移転価格調査は、コンサルティングや会計事務所が支援)
2)知的財産・サービスなどの無形資産・財を提供する場合
費用はどのように決定されるのか?
現地子会社の人件費、家賃、その他の経費を総合し、若干の手間賃を乗せて請求額を決めるケースを多い。目安としては、[ コスト + 10-15% ] での請求で良いが、これも上記の物流が発生するケースと同様、移転価格の調査は必要となる。特に知的財産のライセンスなどになると、ライセンス契約の条件、市場の相場、利率などの比較調査が必要となる。そのため[ 原価+__% ]というような契約内容は、親子間で絶対に結ばないよう留意すべき。
どのような事態で問題となるのか?
1:税務申告:年間を通して州・郡・連邦政府に事業の税務申告をしている場合、数年間も利益が出ていないケース。
取引額・売上に対して数年経っても利益が業界相場の利益に至っていない場合は、その変化も含め、抜き打ちで国税などの移転価格専門部隊の調査委員から手紙、調査委が入ることが考えられる。
仕入れ・販売の書類や請求書・仕入れ書のレビューが入り、価格の妥当性、どのように価格が設定されているのか?の質疑が行われる。
審査員は専門家なので、あらゆる業界のデータを持っており、その内容に対して米国内で利益が低い場合はその理由を問われ、決定的な根拠・証拠がない場合は米国会社に利益がでるように意見書が出される。それに根拠を持った応対ができな合い場合は数年に遡りペナルティーが課される。数年間は営業拠点の余剰広告費用・人件費など、一時的である経費の証拠が証明できれば、意図的に移転価格を操作していない事は証明できることもあるなど、改善指示は出るはずです。
2:物流があるケース
港安局、輸入税関関係で監査が行われたり、抜き打ちで過去の輸入品に対する販売・仕入れの情報を調査される場合がある。
自社で使用する製品の場合には消費税とその仕入れ価格、転売するケースでは転売のライセンス・価格設定調査は必須となる。
実際に移転価格調査は必要な状況は?
・年間売り上げが数億単位で発生し、増加傾向が急激に起こる場合、経験則だが監査対象になるケースが多く見られる。
・サンプル商品・展示用の商品を一度に高額・頻繁に輸入するケース。
・内部告発された場合
しかし、年間数十万ドル程度の取引で、変化が然程見られない程度であれば、移転価格調査まで行う必要はないと考えられる。ある程度米国側で利益が出る調整で良い場合が多いが、リスクが伴う事の覚悟は必須。
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