アメリカの株式市場の中でニューヨーク証券取引所 (NYSE)に続く規模のナスダック (NASDAQ)。

2018年9月に日本の外食チェーン店として、初めてナスダック上場を果たした「いきなりステーキ」を展開するペッパーフードサービス (KPFS)が、翌年の2019年に上場廃止したニュースは記憶に新しいかと思います。

本記事では、ナスダック (NASDAQ)についてご紹介していきます。ナスダックの概要から、日本の上場企業例、上場要件、上場手順、そしてナスダック上場のポイントを詳しく解説していきます。

> 米国の他の株式市場との比較等はこちらのアメリカ上場の記事をご確認ください。

Contents

ナスダック(NASDAQ)とは

ナスダック (NASDAQ)とは米国の代表的な株式市場の一つ。

時価総額がニューヨーク証券取引所 (NYSE)に次いで2番目に大きい株式市場となります。

新興企業(主にハイテク・インターネット系)で多数が構成されており、アメリカの時価総額トップ (2022年8月時点)のアップル (AAPL)を初め、マイクロソフト (MSFT)、アマゾン・ドット・コム (AMZN)、FacebookやInstagramのメタ・プラットフォームズ(FB)、テスラ(TSLA)、エヌビディア (NVDA)、そしてGoogleの親会社のアルファベット(GOOG & GOOGL)等が上場しています。

正式名称は National Association of Securities Dealers Automated Quotationsで、頭文字を取って NASDAQ (ナスダック)と呼ばれるようになりました。

名前にAutomated Quotation (自動見積もり)とあるように、1971年に世界初の電子株式市場として誕生し、その後自動取引システムの導入を行いました。NYSEのAuction取引に対して、

ナスダックは電子取引で売買が行われ、市場の専門参加者であるMarket Makerの役割が大きくなります。

ナスダック(NASDAQ) 関連の指数とは

ナスダック関連の指数が多数存在します。本セクションでは、ナスダック関連の有名な指数を簡単に振り返ります。

1. NASDAQ総合指数

NASDAQ総合指数とはナスダックに上場しているすべての銘柄の時価総額を元に算出した指数。全ての時価総額を単純に平均したものではなく、加重平均する形で計算されます。

2021年1月に上場を果たしたピックアップトラックに特化したEVメーカーのリビアン (RIVN)のような新興企業から、通称GAFAM銘柄でお馴染みのアマゾン (AMZN) やアップル (AAPL)などの有名企業の株価が反映された指数になります。

2. NASDAQ100指数

NASDAQ100指数はナスダックに上場している企業の上位の約100銘柄の時価総額の加重平均で算出される指数です。2022年7月末現在での、上位10社と時価総額は以下の通りとなります。

ティッカー
(シンボル)
銘柄 時価総額 (2022年7月27日現在)
AAPL Apple Inc. Common Stock $2.6 Trillion
MSFT Microsoft Corporation Common Stock $1.9 Trillion
GOOG Alphabet Inc. Class C Capital Stock $1.4 Trillion
GOOGL Alphabet Inc. Class A Common Stock $1.4 Trillion
AMZN Amazon.com, Inc. Common Stock $1.2 Trillion
TSLA Tesla, Inc. Common Stock $804 Billion
META Meta Platforms, Inc. Class A Common Stock $430 Billion
NVDA NVIDIA Corporation Common Stock $413 Billion
PEP PepsiCo, Inc. Common Stock $237 Billion
COST Costco Wholesale Corporation Common Stock $226 Billion

※最新の時価総額はこちらのナスダックのページよりご参照ください。

金融関連銘柄は本指数から除外されます。他に、NASDAQ Financial-100というナスダックの金融銘柄上位100を集めた指数も存在します。

3. NYダウ・S&P500との違い
ナスダックの指数とよく混同されるNYダウとS&P500との違いも簡単に解説しておきます。

NYダウはダウ平均株価とも呼ばれ、ダウ・ジョーンズ工業株価平均のことを指し、ナスダックやニューヨーク取引所 (NYSE) に上場している代表的な銘柄30個を選出し、株価を平均して算出した株価指数となります。

NASDAQ総合指数やNASDAQ100指数はナスダックに上場している企業だけを対象にしているのに対し、NYダウはニューヨーク取引所 (NYSE)に上場している企業も対象にしている点、そしてNYダウは米国企業のみを対象(※)にしている点が大きな違いです。

(※NASDAQ総合指数やNASDAQ100は米国以外の企業も対象にしています)

S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス (S&P Dow Jones Indices)という会社が選出しており、アメリカで最も歴史のある指数です。

一方、S&P500はナスダックやニューヨーク取引所 (NYSE) に上場している企業500銘柄を選出し、時価総額の加重平均で計算した株価指数です。NYダウと同じく、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス (S&P Dow Jones Indices)社が選出しています。

本指数の組入要件に時価総額が$8.2 Billion以上、4半期連続での黒字維持などの条件があり、赤字企業でも指数として採用されるNASDAQ総合指数やNASDAQ100指数と異なります。

また、銘柄数500個とがNYダウと比べて多く、個別企業の影響を受けづらく、アメリカ市場の全体の動きと概ね連動すると言われています。

S&P500はNYダウと同じく、米国企業を対象にしています。

指数 対象銘柄
NASDAQ総合指数 ナスダックに上場しているすべての銘柄
NASDAQ100指数 ナスダックに上場している上位100銘柄
NYダウ ナスダックやニューヨーク取引所 (NYSE) に上場している30銘柄 (※S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが選出)
S&P500 ナスダックやニューヨーク取引所 (NYSE) に上場している500銘柄 (※S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが選出)


ナスダック関連指数は多数存在。それだけ信用度が高い市場と言える。

ナスダックとニューヨーク証券取引所(NYSE)の違い

ナスダックと対になって取り上げられるのがニューヨーク証券取引所 (NYSE)です。

ニューヨーク証券取引所 (NYSE)は時価総額で世界最大の証券取引所。正式には New York Stock Exchangeという名称で、その頭文字をとって、NYSEと呼ばれます。Big Boardと呼ばれることもあります。

ナスダックとニューヨーク証券取引所 (NYSE)の大きな違いは、その規模だけではなく、上場企業の種類です。前述のように、ナスダックにはハイテク企業やインターネット企業などの新興企業が中心ですが、ニューヨーク証券取引所 (NYSE)にはマクドナルド (MCD)やジェネラルモーター (GM)、コカ・コーラ (KO)など伝統ある企業が並びます。

ただし、現在は両マーケットの線引きが曖昧になってきており、ハイテク企業のSalesforceやTwitterはニューヨーク証券取引所に上場するケースも増えております。

> ニューヨーク証券取引所(NYSE)の概要・上場条件等の詳細はこちら


ニューヨーク証券取引所 (NYSE)は有名なウォール街に位置する

ナスダック(NASDAQ) に上場もしくは上場予定の日本企業例

具体的にどのような日本企業がナスダックに上場しているのでしょうか?
ここからはナスダックに上場している日本企業の例をご紹介していきます。

1. Kura Sushi USA, Inc (NASDAQ: KRUS)

日本でお馴染みの回転寿司チェーンのくら寿司のアメリカ子会社
2019年に8月にナスダックの中型株の市場、NASDAQ Global Marketに上場。

売上規模: $US 64.89 million(2021年8月期)
時価総額: $US 826.78 million (2022年8月初旬時点)

 

2. NuZee Inc. (NASDAQ: NUZE)

日本人経営者の方がアメリカで立ち上げたベンチャー企業。日本でお馴染みのドリップパックコーヒーの販売を米国で行う企業。2020年6月にNASDAQ Capital Marketに上場。

売上規模: $US 1.93 million(2021年9月期)
時価総額: $US 21.89 million (2022年8月時点)

 

3. メディロム (NASDAQ: MRM)

Re.Ra.Kuを初め、リラクゼーションスタジオの運営やウェアラブル端末の開発を行うヘルスケアスタートアップ企業。2020年12月にNasdaq Capital Marketへ上場。
日本で上場せずに、ナスダックに上場したことで話題になりました。新株を発行せず、手続きを簡略化できる Direct Listing (直接上場)にて上場。

売上規模: $US 3.34 billion(2020年12月期)
時価総額: $US 32.27 million (2022年8月時点)

 

4.  吉通貿易 (NASDAQ: TKLF)

東京の本社を置き、日本製の美容・健康用品の小売・卸売業やドラッグストアの運営を行う企業。2022年1月に上場。

売上規模: $US 221.52 million(2021年3月期)
時価総額: $US 69.24 million (2022年8月時点)

 

5.  Warrantee (NASDAQ: WRNT)※予定

Warranteeは大阪に本社を置き、シンガポールとアメリカ向けに無料保険 (Free Insuarance)を提供するスタートアップ企業。社員9人でナスダック上場したことで話題に。2022年6月30日に上場が承認されました。

 

6. コインチェック (NASDAQ: CNCK) ※予定

日本での仮想通貨の取引所の持株会社。SPAC (特別買収目的会社) を通じての上場を2022年中に計画中 (※2022年7月時点)。

ナスダック(NASDAQ) の上場廃止企業の一例

2018年9月に日本の外食チェーン店として、初めてナスダック上場を果たした「いきなりステーキ」を展開するペッパーフードサービス (KPFS)等、これまで数多くの日本企業がナスダック上場してきましたが、上場廃止をしています。

以下、2010年代以降に、ナスダックへの上場廃止を行った日本企業の一例をご紹介します。

企業名 上場年月 上場廃止年月
三井物産 1971年 2011年4月
マキタ 1977年 2013年4月
ワコール 1977年 2013年4月
インターネットイニシアティブ 1999年8月 2019年4月
ペッパーフードサービス 2018年9月 2019年7月
FRONTEO 2013年5月 2020年2月

ナスダック(NASDAQ) 上場のメリット・デメリット

ここまで、ナスダックの概要とナスダック上場の日本企業をご紹介しました。
ここからは日本の企業の目線でナスダック上場のメリット・デメリットをご紹介していきます。

1. ナスダック上場のメリット #1 – 名声

メリットの1つ目はナスダックに上場しているという名声です。

名前が象徴しているようにナスダックといえば一時日本でもNASDAQ JAPANの可能性が秘めた程、電子商取引分野では世界最高峰を誇ります。電子技術の強みを生かした、取引の瞬時性、上場プロセス、情報の効率性では世界トップ。

2. ナスダック上場のメリット #2 – 流動性・成長性

メリットの2つ目は高い流動性・成長性です。
年金運用ファンドは第一にNYSE上場の優良株式を保有しますが、保守銘柄という側面で安定性が主軸となる分散先です。成長性への配分はナスダック銘柄が先に選択されます。

年金等の安定株主の獲得において、世界で最も優位な位置にいるのがナスダック銘柄といえます。

3. ナスダック上場のメリット #3 – 上場時の資金調達額の高さ

ナスダックは米国ではNYSEOTC市場の間の市場であり、誰もが投資を検討する銘柄が集中しています。

取引所で銘柄を選択するケースは稀ですが、兆$単位から数億$単位の時価総額企業が様々な銘柄があり全社監査・SEC報告書も義務付けられているために、投資が集中しています。そのため、上場時の資金調達もOTCに比べて行いやすいです。

4. ナスダック上場のデメリット #1 – 上場規制が厳しい

抽象企業にとっては上場目標の取引市場ではあるが、上場規制は厳しい側面が多々存在します。純資産・株価が上場維持規定を下回っている企業は常に多く存在し、ナスダック上場廃止リスクは常にあります。

5. ナスダック上場のデメリット #2 – 上場維持の手間・コストが高い

NYSE同様、全社監査・SEC報告が義務づけられており、特に日本に本業がある企業は、日本での監査、米国持株会社の連結の監査、SEC報告書が必須となるために、四半期毎・年度末の報告書の手間と上場維持のコストが膨大となります。


ナスダックがあるのはNYCのタイムズスクエア。常に多くの人が行き交う

上場は難しい?ナスダック(NASDAQ)の新規上場と上場廃止要件

メリット・デメリットを整理したところで、次に具体的な新規上場要件をご紹介していきます。

ナスダック(NASDAQ)の3つの市場 (Tier)

ナスダックには大きく3つのTier (カテゴリ分け)が存在します。

  • 小型株 – Nasdaq Capital Market (NASDAQ-CM)
  • 中型株 – Nasdaq Global Market (NASDAQ-GM)
  • 大型株 – Nasdaq Global Select Market (NASDAQ-GS)

 

それぞれ、上場要件や手数料が異なり、 Nasdaq Global Select Market (ナスダックグローバルセレクトマーケット)は一番高い要件が設定されています。

ここからは、それぞれの新規上場と上場維持要件を細かく見ていきます。

ナスダック(NASDAQ)新規上場(IPO)要件

ナスダック上場には様々な要件が存在します。

本セクションでは、その中でも主に財務・流動性の要件に絞ってご紹介していきます。コーポレート・ガバナンスの要件等の詳細を知りたい方は弊社にお問い合わせ頂くか、Nasdaqの資料をご参照ください。

1. Nasdaq Capital Marketの財務・流動性要件

Nasdaq Capital Market (ナスダックキャピタルマーケット)では以下、3つの基準が存在します。

  1. 資本基準 (Equity Standard)
  2. 時価総額基準 (Market Value of ListedSecurities Standard)
  3. 利益基準 (Net Income Standard)

 

これら1〜3のうち、いずれかを満たせば財務・流動性要件を満たすことになります。

1.資本基準 2.時価総額基準 3. 利益基準
株式資本 $5 million $4 million $4 million
浮動株の時価総額 $15 million $15 million $5 million
事業継続期間 2年間
時価総額 $50 million
事業利益
(直近年度または過去3年のうち2年)
$0.75 million
浮動株式数 1 million 1 million 1 million
株主数 300 300 300
マーケットメーカー (値付け業者数) 3 3 3
買呼値(Bid)
or
終値
$4

$3

$4

$2

$4

$3

※Direct Listing (直接上場)の場合は条件が異なります。

上記の表を見てもらうとわかりますが、売上や利益がゼロでも上場できることとなります。

そのため、売上ゼロで赤字の企業でも上場できます。実際に過去にも売上ゼロの企業 (例えば、新薬開発している企業で販売が未だの企業)や赤字企業が上場することも珍しくありません。

2. Nasdaq Global Marketの財務・流動性要件

次に、ナスダックの中堅にあたる Nasdaq Global Market (ナスダックグローバルマーケット)の財務・流動性要件をご紹介します。4つ基準が設けられており、次の1〜4のうち、いずれかを満たせば財務・流動性要件を満たすことになります。

  1. 利益基準 (Income Standard)
  2. 資本基準 (Equity Standard)
  3. 時価総額基準 (Market Value Standard)
  4. 資産・売上基準 (Total Assets/Total Revenue Standard)

 

1. 利益基準 2.資本基準 3. 時価総額基準 4. 資産・売上基準
税引前の事業利益
(直近年度または過去3年のうち2年)
$1 million
株式資本 $15 million $30 million
時価総額 $75 million
資産と売上
(直近年度または過去3年のうち2年)
$75 million
かつ
$75 million
浮動株式数 1.1 million 1.1 million 1.1 million 1.1 million
浮動株の時価総額 $8 million $18 million $20 million $20 million
買呼値(Bid) $4 $4 $4 $4
株主数 400 400 400 400
マーケットメーカー (値付け業者数) 3 3 4 4
事業継続期間 2年間

※Direct Listing (直接上場)の場合は条件が異なります。

3. Nasdaq Global Select Marketの財務要件

最後にナスダックの大型株の市場、Nasdaq Global Select Market (ナスダックグローバルセレクトマーケット)の財務要件をご紹介します。Nasdaq Global Market (ナスダックグローバルマーケット)と同じく4つの基準が設けられており、1〜4のうち、いずれかを満たせば財務要件を満たすことになります。

  1. 利益基準 (Earnings)
  2. 時価総額 & キャッシュフロー基準 (Capitalization with Cash Flow)
  3. 時価総額 & 売上基準 (Capitalization with Revenue)
  4. 資産・資本基準 (Assets with Equity)

 

なお、流動性については上場方法により細かく規定されており、本記事では割愛させて頂きます。詳細はNasdaqの資料をご参照ください。

1. 利益基準 2. 時価総額 & キャッシュフロー基準 3. 時価総額 & 売上基準 4. 資産・資本基準
税引前の事業利益 過去3年の会計年度の合計が$11 million以上
かつ
過去3年の会計年度いずれもゼロ以上
かつ
直近2年の会計年度いずれも $2.2 million以上
キャッシュフロー 過去3年の会計年度の合計が$27.5 million以上
かつ
過去3年の会計年度いずれもゼロ以上
時価総額 過去12ヶ月の平均が$550 million以上 過去12ヶ月の平均が$850 million以上 $160 million
売上 前の会計年度で$110 million以上 前の会計年度で$90 million以上
資産 $80 million
株主資本 $55 million
買呼値(Bid) $4 $4 $4 $4

 

ナスダック(NASDAQ)上場維持・廃止要件

ここまで、新規上場要件について見てきました。
次に上場維持要件、特に財務・流動性の要件についてご紹介していきます。

コーポレート・ガバナンス等、他の要件等の詳細を知りたい方は弊社にお問い合わせ頂くか、こちらのNasdaqの資料をご参照ください。

上場維持要件のいずれも満たすことができなくなった場合、上場廃止となり、ほとんどの場合はOTC市場に移行することになります。

1. Nasdaq Capital Market:

まずは、ナスダックキャピタルマーケットの上場維持要件をご紹介していきます。
新規上場時と同様、以下3つのいずれかの基準を満たせば上場維持が可能です。

また、例えば新規上場時は「1.資本基準」で上場したからといって、上場維持の際に同様に「1.資本基準」を満たす必要はなく、「2.時価総額基準」もしくは「3. 利益基準」のいずれでも満たしていればokです。

1.資本基準 2.時価総額基準 3. 利益基準
株式資本 $2.5 million $4 million $4 million
上場株時価総額 $35 million
事業利益
(直近年度または過去3年のうち2年)
$0.5 million
浮動株式数 0.5 million 0.5 million 0.5 million
浮動株の時価総額 $1 million $1 million $1 million
買呼値(Bid) $1 $1 $1
株主数 300 300 300
マーケットメーカー (値付け業者数) 2 2 2

2. Nasdaq Global MarketとNasdaq Global Select Marketの財務・流動性要件

次にナスダックグローバルマーケットとナスダックグローバルセレクトマーケットの上場維持要件を見ていきます。新規上場時と異なり、両者の財務・流動性の要件は同じです。

1.資本基準 2. 時価総額基準 3. 資産・売上基準
株式資本 $10 million
時価総額 $50 million
資産と売上
(直近年度または過去3年のうち2年)
$50 million
かつ
$50 million
浮動株式数 0.75 million 1.1 million 1.1 million
浮動株の時価総額 $5 million $15 million $15 million
買呼値(Bid) $1 $1 $1
株主数 400 400 400
マーケットメーカー (値付け業者数) 4 4 4

ナスダック(NASDAQ)上場のポイント

ポイント#1 – 上場が目的にならないこと

日本拠点の企業で売上が無い、数億、1,000億円以下の企業のご相談を受けることが多く、必然的に売上が低い、創業間もない企業の殆どは、”上場が目的” になっておます。

勿論上場することにより資金調達は重要な目的ですが、延命をする結果となる上場ライフスパンが多く見受けられます。

ポイント#2 – 上場後の成長戦略

上場後安定した成長、M&Aや再編を軸にした成長戦略を四半期毎にプレゼン・報告をし堅実にこなす事が鍵となります。

NASQAQに上場しても、米国・世界の安定した株主・年金・中長期の投資ファンドが株主として入らなければナスダックでの上場は”名声”のみで、実質的な意味はなく、上場後ほとんどの企業は5年以内には上場廃止に陥ります。

ポイント#3 – 外部の専門家を起用し、株主誘致を繰り返す

いかなる上場手法でも、上場後のIR戦略は部隊を持って対処すべきです。

また、外部の専門家を起用し、(規模に応じて) 現存株主・将来の株主誘致の活動を常に繰り返すべきです。

例えば、時価総額$100mの上場企業の株主が$10mー$20mを売却することは日常茶飯事です。市場で売却をされれば株価は暴落し、上場廃止になりかねません。そのような場合には株主との良好関係を保持し、市場を通さず事前に相対で引取る、他社に仲介売却をするなどの戦略・活動が欠かせません。

ポイント#4 – マーケットメーカーとの関係構築

流動性が高い取引所である反面、出来高が低いと株価が乱高下し安定しません。
出来高の戦略=マーケットメーカーとの関係は非常に重要です。マーケットメーカーは常に会社の株式を自己リスクで保有する側面、投機的な保持者でもあります。

彼らへの会社の状況説明・関係は必須です。


株価の安定には堅牢なIR戦略が重要

まとめ

本記事では、ナスダック上場についてご紹介しました。

ナスダックに限らず、米国市場の上場成功の鍵は上場後を見据えた戦略の有無です。ナスダック上場についてご不明な点がある場合は、ぜひお問い合わせください。