最終更新日: 2022年9月27日

リバースマージャーとは

上場している会社(A)に、未上場の会社(B)を吸収合併し、Bの目的である、”上場を果たす” 事をいいます。通常A社は上場はしているものの、事業の実態がない・経営を諦めている、などの理由で抜殻の会社状態が殆どであり、それらの企業を”SHELL企業”と称します。

B社は、IPO時のSEC登記など複雑な手続きが避けられ、上場を果たすと言う利点があります。

> アメリカでの他の上場方法との比較等はこちらのアメリカ上場の記事をご確認ください。

リバースマージャーの主な規制・ルール

リバースマージャー上場には、SEC/FINRAなどの証券法、RULE144の注意が必要です。

その他は取引所の上場規制に準ずることが殆どとなります。リバースマージャー上場後の時価総額・最低取引BID価格・純資産の規制などが主な規制事項になります。

また、会社法における株主の賛同も必要になりますので、株式の大半・大多数の議決を保持する事も重要です。

リバースマージャーのメリット

リバースマージャーのメリット #1 – 時間

上場している会社(A)に、未上場の会社(B)を吸収合併させる場合、両社の株主の賛同が得られれば、原則合併は済みます。通常のIPOが1年ー2年かかる事と比べると、早いケースでは2−3月でリバースマージャー上場を終えるケースもあります。

手続きの際に、取引所の規制をクリアーする必要はありますが、OTC市場のPINK取引の会社であれば監査も必要がないので、迅速に行えます。

リバースマージャーのメリット #2 – 手間

資金調達・ロードショー等々の手間が省けます。

IPOでは通常、資金を調達します。証券会社・投資銀行を通して新株式の発行等々が起き、その宣伝広告活動にロードショー(各地での宣伝活動)も行います。

リバースマージャー上場時に資金(PIPE)を調達するケースもありますが、その際は既に提供者が決まっていることが前提ですので、IPOとの大幅な手間が’省けることになります。

リバースマージャーのメリット #3 – 関係者・手数料

証券・投資銀行等が関わる必要がない為に、大幅なコストの削減となります。通常のIPOでは最低でも$500,000から$1,000,000以上(数億円)の手数料がかかるIPOと比べ、リバースマージャー上場には証券の専門家と弁護士・会計士のみで完結することが可能です。$30万ドル程度に費用を抑えるケースもあります。

リバースマージャーのデメリット・リスク

リバースマージャーのデメリット・リスク#1 – 株価の行方

証券会社や投資銀行を通さない反面、自己判断のみで吸収合併の企業価値を決めてのリバースマージャー上場で、結構後に株価・時価総額が期待を大幅に下回るリスクがあります。

実体企業の資産価値・純資産・成長性をしっかりと吟味し、保守的な合併条件にての決断が重要です。

リバースマージャーのデメリット・リスク#2 – 資金調達

通常のリバースマージャー上場では、公的に資金を調達することはありません。上場が目的で、IPOではない為に、上場時の市場の期待はありません。株価が設定の相場を、数十%、数倍に跳ね上げることも期待できません。

未公開企業の株式が、公開株式に代わり、市場で売買ができるようになる。と言う事が主な目的です。

リバースマージャーのデメリット・リスク#3 – IR

通常のリバースマージャー上場は、証券会社・投資銀行などの支援ない事が多い為に、宣伝やの公的な情報に触れることが少ない実態があります。リバースマージャーをする上場シェル会社の、現状のIR・PRの実体と、リバースマージャー後の戦略・方針を硬め、IRの提携先を決めることが重要です。

上場後全く流動性がない・時価総額が動かないリスクが大いにあります。

リバースマージャーでの上場企業例

Apple・US Airways・American Eagle Outfitter・Berkshire Hathaway社はリバースマージャーを経てPublic Companyになった有名な企業です。Berkshire Hathaway社は元々繊維会社で、著名な投資家 Warren Buffet氏が出資・大株主となり、繊維事業の衰退とともに投資会社に変貌を遂げた有名な上場投資会社です。


現在、時価総額トップのAppleも元々はリバースマージャーを経て上場

リバースマージャーでの上場のポイント・まとめ

メリット・デメリットの双方を掛け合わせ、リバースマージャーにて上場するケース・見合っている企業は以下に代表されれます。

リバースマージャー上場のポイント #1

中小企業で成長を上場意義で活用できる経営理念を持っている会社。

家族経営から外部の経営・資本を受け入れ、変貌を遂げる事に賛同できる企業。

中小企業は通常、個人・同族経営/Closed Corporationのケースが多く、成長構想・財務・人事も数名の独断で行っている事がほとんどです。これを公に明かし、経営をする事が求められるので、財務管理・報告・目標・社会性・成長・環境・取引関係・モラル・IR・ガバナンス等々の管理情報の公開が重要になります。

リバースマージャー上場のポイント #2

大手・中堅企業のケースは再編・市場争い等のM&Aケース。

US Airway社とAmerican Air社は、リーマンショック前後に経営が立ち行かず民事再生に入りました。双方は合併をし、債権を再編する事で、民事裁判より承認を経て再生されました。その際の武器になったのが、両者の利点を活用したリバースマージャー手法による債務超過の消し込みと、投資家へのリスク軽減でした。

中堅が大手を飲み込む・大手が中小企業を飲み込む、その際には、日米ともに多くのケースでリバースマージャーとなる事が多いのです。

リバースマージャー上場のポイント #3

事業に自信がある経営者がペニーストック(株価がセント単位の超小企業)から徐々に時価総額をあげて成長・中堅・肥大化するケース。

起業のタイミング数年でリバースマージャーにて上場をする。この期間、上場企業は名声がないので時価総額も非常に低く、流動性も低い。Apple社がこのタイプです。

事業の繁栄とともに成長における出資者が増え、都度PIPE(上場企業の私募にて資金調達)を行い、時価総額が上がる。成長に応じてその繰り返しを行い、Apple社は世界最大企業にまでになる成長を遂げました。そのような方法もあります。