近年アメリカ市場への上場への関心は少しずつ高まってきていると感じます。

特にヘルスケアスタートアップ企業のメディロムが、日本の株式市場で上場せず、ナスダックへ直接上場を果たす等、スタートアップ企業を中心にアメリカ市場への関心が広がっています。

そこで、本記事では、アメリカ上場を検討されている企業に向けて、アメリカに存在する3つの株式市場、伝統的なIPO以外の上場方法、上場時のポイント、弊社のケーススタディなどをご紹介していきます。

これから、アメリカ上場を検討されている方はぜひご一読ください。

ナスダック・NYSEだけではない?アメリカ上場の3つの株式市場

世界最大のGDPを誇るアメリカ。国内には世界最大の株式市場「ニューヨーク証券取引所 (通称: NYSE)」と「ナスダック (NASDAQ)」の2つが存在します。

元々、両株式市場の棲み分けは歴史のある企業が「ニューヨーク証券取引所 (NYSE)」、ハイテク・スタートアップ企業は「ナスダック (NASDAQ)」という位置づけでした。

しかし、2022年時点ではその棲み分けは曖昧となり、ハイテク企業がニューヨーク証券取引所に上場することも一般的となりました。

両株式市場の違いを見ると、その差がほとんどないことがわかります。

NYSE ナスダック
概要 1817年に設立された歴史のある証券取引所。
ロンドン証券取引所に次いで世界で2番目に古く、規模は世界最大です。
1971年に世界初の電子株式市場として誕生し、その後自動取引システムの導入を行う。ニューヨーク証券取引所 (NYSE)に次いで2番目に大きい株式市場。
上場企業例 マクドナルド (MCD)やジェネラルモーター (GM)、コカ・コーラ (KO)など伝統ある企業が並ぶ。近年ではハイテク企業の台頭の影響もあり、Twitter、アリババ、セールスフォース等のハイテク企業の数も増加。 アメリカの時価総額上位のアップル (AAPL)を初め、マイクロソフト (MSFT)、アマゾン・ドット・コム (AMZN)、FacebookやInstagramのメタ・プラットフォームズ(FB)、テスラ(TSLA)、エヌビディア (NVDA)、そしてGoogleの親会社のアルファベット(GOOG & GOOGL)等
市場全体の時価総額 (2022年初) 世界一位 約$27 Tn 世界二位 約$22 Tn
上場企業数 (2022年初) 約2,600社
(米国内: 77%  米国外: 23%)
3,790
(米国内: 2,918 & 米国外: 872)

これまでの市場全体の時価総額の推移を見てみると、ここ5年でナスダックが急激に追い上げ、2022年1月時点でのNYSEとナスダックの時価総額の違いはほとんど埋まったことがわかります。

NYSE ナスダック 合計
2018年1月 $22.76 T $10.82 T $33.58 T
2019年1月 $22.46 T $10.66 T $33.12 T
2020年1月 $24.01 T $13.29 T $37.3 T
2021年1月 $22.27 T $19.34 T $41.61 T
2022年1月 $26.56 T $22.46 T $49.02 T

参照: Statista

ちなみに、参考までに東証の時価総額の推移を見ると、およそ6倍〜7倍程度の差があり、その差は依然広がっています。いかにアメリカの株式市場の成長幅が大きいかがわかるかと思います。

東証
2018年12月 562.1兆円 ($5.11 T)
2019年12月 648.2兆円 ($5.89 T)
2020年12月 666.8兆円 ($6.06 T)
2021年12月 728.4兆円 ($6.62 T)

参照: 日本取引所グループ※US$1を110円として計算

また、アメリカにはナスダック・NYSEとは別に店頭市場と言われるOTC市場が存在します。
OTCとはOver the Counterの略称で店頭取引を指します。OTC市場の大部分はOTC Markets Group が運営している。米国最大級の非上場市場となります。

ニューヨーク証券取引所 (NYSE) やナスダック (NASDAQ) とは異なり、株式の売買の際に取引所を介さず株のやり取りを行います。そのため、OTCは実質は ”市場”ではなく、OTC市場規制に準じた規制の元、マーケットメーカーが相対で取引を行い、その取引された値がOTC取引所に反映・報告される仕組みとなります。

ニューヨーク証券取引所 やナスダックへの上場の予備軍的な市場の位置づけで、両市場と比較しても上場・維持コストを抑えることができるので、中小企業が安定して上場を維持できる市場として人気です。

> OTC市場の詳細はこちら


OTC市場には設立間もない企業も掲載されている

アメリカ市場に上場している企業、時価総額TOP20

ここからはアメリカの株式市場に上場している企業の例を3つの市場 (NYSE、ナスダック、OTC)に分けてご紹介していきます。
2022年の8月5日時点での、アメリカ株式市場での時価総額ランキングTOP20の企業は次の通りとなります。

社名 時価総額 価格 市場 国籍
Apple (AAPL) $2.657 T $165.35 ナスダック アメリカ
Microsoft (MSFT) $2.109 T $282.91 ナスダック アメリカ
Alphabet (Google) (GOOG) $1.536 T $118.22 ナスダック アメリカ
Amazon (AMZN) $1.434 T $140.80 ナスダック アメリカ
Tesla (TSLA) $902.97 B $864.51 ナスダック アメリカ
Berkshire Hathaway (BRK-B) $645.27 B $292.07 NYSE アメリカ
UnitedHealth (UNH) $501.97 B $535.06 NYSE アメリカ
NVIDIA (NVDA) $473.20 B $189.89 ナスダック アメリカ
Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. Ltd. (TSM) $465.54 B $89.77 NYSE 台湾
Visa (V) $455.67 B $215.87 NYSE アメリカ
Johnson & Johnson (JNJ) $449.87 B $171.11 NYSE アメリカ
Meta Platforms (Facebook) (META) $449.11 B $167.11 ナスダック アメリカ
Tencent Holdings Limited (TCEHY) $376.88 B $38.5 OTC 中国
Exxon Mobil (XOM) $368.65 B $88.45 NYSE アメリカ
Procter & Gamble (PG) $347.22 B $144.72 NYSE アメリカ
Walmart (WMT) $346.97 B $126.58 NYSE アメリカ
Mastercard (MA) $345.48 B $357.51 NYSE アメリカ
JPMorgan Chase (JPM) $339.47 B $115.76 NYSE アメリカ
Home Depot (HD) $318.28 B $309.69 NYSE アメリカ
Chevron (CVX) $301.87 B $153.64 NYSE アメリカ
Eli Lilly (LLY) $286.30 B $301.32 NYSE アメリカ
Pfizer (PFE) $276.44 B $49.27 NYSE アメリカ

参照: Largest Companies by Market Cap。アメリカ以外の市場のデータは除外。

ちなみに、日本のトヨタはニューヨーク証券取引所 (NYSE)に上場。2022年8月5日時点でのランキングは41位 (時価総額: $219.66 B)となります。

アメリカ市場に上場している日本企業上位

次にアメリカの証券市場 (NYSE、 ナスダック、 OTC)に上場している日本企業の上位をご紹介します。それぞれの市場の上場企業の詳細をご覧頂きたい場合は、それぞれのページをご参照ください。

社名 時価総額 (2022年8月時点) 市場
Toyota Motor Corporation (NYSE: TM) $US 219.66 billion NYSE
Sony Group Corporation (NYSE: SONY) $US 108.94 billion NYSE
Mitsubishi UFJ Financial Group, Inc. (NYSE: MUFG) $US 66.72 billion NYSE
Takeda Pharmaceutical Company Limited (NYSE: TAK) $US 43.72 billion NYSE
Honda Motor Co., Ltd. (NYSE: HMC) $US 43.48 billion NYSE
Sumitomo Mitsui Financial Group, Inc. (NYSE: SMFG) $US 42 billion NYSE
Mizuho Financial Group, Inc. (NYSE: MFG) $US 29.9 billion NYSE
Canon Inc. (NYSE: CAJ) $US 25.05 billion NYSE
Kura Sushi USA, Inc (NASDAQ: KRUS) $US 826.78 million ナスダック
NuZee Inc. (NASDAQ: NUZE) $US 21.89 million ナスダック
メディロム (NASDAQ: MRM) $US 32.27 million ナスダック
吉通貿易 (NASDAQ: TKLF) $US 69.24 million ナスダック
SONY Group Corporation (SNEJF) $US 107.44 Billion OTC
Keyence Corp. (KYCCF) $US 100.1 Billion OTC
SoftBank Group Corporation (SFTBF) $US 63.24 Billion OTC

上記の表を見ると、NYSEとOTCに上場している企業の時価総額が高く、ナスダック上場企業の時価総額が低いように見えます。

しかし、これはNYSEとOTCはADR(※)にて上場しており、日本事業の価格が反映されていますが、ナスダックのくら寿司はアメリカ現地の子会社の事業が上場しているので額が低い印象を受ける形となります。

※ADRとは
ADRとは American Depositary Receiptの略で、米国預託証券を指します。
日本等、米国外の市場で上場した株式をもとに、預託銀行が証券を発行。その証券を元に、ニューヨーク証券取引所やナスダックなどのアメリカ市場で上場する方式です。

 

アメリカの株式市場3つの新規上場要件

ここからは3つの株式市場の上場要件をご紹介していきます。

それぞれの市場でもクラス分けが存在 (以下参照)し、上場要件が異なるのはもちろん、各市場ごとに複数の上場要件が設定されており、単純比較が難しいのが現実です。

ナスダック

  • Nasdaq Capital Market (NASDAQ-CM) – 小型株
  • Nasdaq Global Market (NASDAQ-GM) – 中型株
  • Nasdaq Global Select Market (NASDAQ-GS) – 大型株

 

OTC

  • OTC Pink – 最も規制が低い市場。株価がつかない、出来高がない企業
  • OTCQB – 成長企業や国際優良企業向けの中堅市場
  • OTCQX – OTC市場内では最も規制・条件が厳しい市場。大型の国際優良企業向け

 

本セクションでは、どの程度上場要件が異なるかをイメージして頂くために比較表を作成しました。

1. 新規上場時の要件

NYSE ナスダック OTC (Pinkを除外)
浮動株式数 1.1 million 1 million 全体の10%
株主数 500〜 300〜
(100株以上所有する株主)
50〜
(100株以上所有する株主)
浮動株の時価総額 $100 million〜 $5 million〜 なし
入札価格 $4〜 $4〜 $0.01〜

また、これらの株の流動性要件とは別に財務要件も存在します。

NYSE ナスダック OTC
時価総額
(時価総額基準の場合)
$100 million 〜 $50 million 〜 なし
利益
(利益基準の場合)
$10 million 〜
(過去3年の税引前利益の合計)
$0.75 million 〜
(直近年度または過去3年のうち2年の事業利益。)
なし
売上
(売上基準の場合)
$75 million 〜
(直前の会計年度)
$75 million 〜
(直近年度または過去3年のうち2年)
なし

こちらの財務要件に関して補足すると、「時価総額」「利益」「売上」等、全ての要件を満たす必要はない点がポイントです。

例えば、株式資本や時価総額が各要件の基準値を満たしていれば、売上や利益がゼロの会社でも上場することは可能です。

実際に、最近話題になったEVのトラックメーカー Nikola (ナスダックに上場) や商業用の宇宙旅行の会社 Virgin Galactic (NYSEに上場) はサービスをリリース前に上場しました。

それぞれの株式市場の要件は、個別の紹介記事を作成しましたので、こちらもご参照ください。

 


EVのトラックメーカーNikolaのウェブサイト。サービスリリース前にナスダックに上場を果たした

IPO以外にもある?アメリカ株式上場4つの方法とは

アメリカでの上場を考える際に、伝統的なIPOをイメージされるかと思いますが、アメリカではその他にも上場手段が存在します。

IPO意外、特に最近件数が伸びてきているのが、1.SPACスパック、2.Reverse Merger リバースマージャーと、3. Direct Listing 直接上場の3つです。本記事では、それぞれの上場方法の概要、そして伝統的なIPOと比較した際のメリット・デメリットをご紹介していきます。

いずれの上場方法を選択した場合でも、専門アドバイザリー企業・コンサルタントを雇うことをお勧めします。

1.伝統的なIPOで上場するメリット・デメリット

上場の際に、新株発行を行い、資金調達をセットで行う方法。
新株は主幹事の証券会社が引き受け、証券会社(単独・あるいはシンジケートで)は投資家に販売を行います。

メリット:

  • 新株発行時に、数が限られた投資家に株が売却されるので、不特定多数に株が保有される場合と比べて、コントロールがしやすくなる。
  • 上場プロセス、株の発行数、マーケティング等、上場に関する知見がある証券会社のサポートを受けられる。
  • 新規に株式を公開する為、会社の成長期待が高い企業ほど上場時の株価(時価総額)の値上が期待される。

デメリット:

  • 証券会社・ブローカーの手数料が高額 数$m以上(数億円以上・上場時規模額の%)
  • 新規に株式を公開する為、会社の成長期待と上場時設定の公開価格に大幅な乖離が起こり、上場後、株価が暴落するリスク
  • SECの規制対策、投資家向けのIR(株主対応)/ロードショー等、上場準備・プロセスが長く、上場までに手間・費用・期間がかかる

 

2. 直接上場(Direct LIsting)手法のメリット・デメリット

直接上場(Direct LIsting)とは伝統的なIPOと異なり、上場時に新株発行による資金調達をせず、既存の株式(株主)のみを(上場株式として)SECに登録を行い、市場公開を行う方法です。一般的には創業者・大株主の保有株式の一部を株式市場に売却する目的等の例が見られます。

最近、注目されている上場の方法で、音楽ストリーミングアプリのSpotify、ビジネスチャットツールのSlack、プロジェクト管理ツールのAsana等のスタートアップ企業はこの方法で上場をしました。日本でもヘルスケアスタートアップ企業のメディロムが直接上場という形で、ナスダックに上場しています。

メリット:

  • 主幹事証券会社を必要としない為、膨大なコストを削減することができる。
  • 新規の公開とは違い、準備期間が短く済む
  • 新規発行株式・資金調達が絡まない為、手続きが簡素化

デメリット:

  • 株式市場の市場原理で株価が決まるので、期待値と実値との乖離が発生するリスクがある。証券主幹事の専門性が欠ける事で株価の予想ができない。
  • 新株発行による資金調達ができない。
  • 証券会社を通さずに全ての手続きを行うので、膨大な時間・労力がかかる。

 

3. SPAC(スパック)上場するメリット・デメリット

SPAC (スパック)とは、Special Purpose Acquisition Companyの略で「特別買収目的会社」のことを指します。事業実態の無いペーパー企業に資金のみを加え、上場をさせる。SEC・上場取引所の定める期間内に実態事業会社を買収し実態を伴った上場企業に変貌すると言う手法です。

伝統的なIPOにかかるプロセス・費用が膨大であることから、SPAC等の手法が注目を集めています。SPAC上場の詳細はこちらのページをご参照ください。

メリット:

  • SPACの上場プロセスは通常のIPOよりも大幅に簡素化されており、上場スピードが早い。企業側の上場は買収・合併のみなので手間・費用が少ない
  • SPACが上場する際に、既に資金調達を行っているので調達額の予測ができる。
  • 事業会社の上場と違い、SEC申告・監査等々の手間が省ける
  • 買収する実態企業側は、数ヶ月で上場が果たせる。

 

デメリット:

  • ニーズ・要件にあったSPACへの出資者を見つけるのが難しい
  • SPACが買収する企業は、実質SPACに資金を投下する投資家(Private Eeuity等)の保有企業になる事が多い。
  • 株価の安定・判断・戦略が困難。

 

> SPAC上場の詳細はこちら

4. Reverse Merger リバースマージャー上場するメリット・デメリット

Reverse Merger (リバースマージャー)とは、既に上場をしている事業実態のある会社、あるいは実態が無くなった企業(シェル会社)に未上場企業Private Companyを合併させ、主に未上場企業の上場目的とした手法を言う。リバースマージャー上場の詳細はこちらのページをご参照ください。

メリット:

  • IPOやSPACに比べ、専門家の費用(コンサルタント・弁護士・税理士以外)が安い。上場できるスピードが早い。企業側の上場は買収・合併のみなので手間・費用も少なく済む。
  • SPACが上場する際に、既に資金調達を行っているので調達額の予測ができる。
  • 事業会社の上場と違い、SEC申告・監査等々の手間が省ける
  • 上場企業に吸収合併される実態のある企業は数ヶ月で上場が果たせる。

 

デメリット:

  • ニーズ・要件にあったシェル会社との交渉の条件
  • リバース上場後、戦略的な資本戦略・IR活動がない場合、株価が下落する可能性
  • 上場後、実態(売上・利益)の大半が海外(日本)にあるケースでは丁寧なIR活動・SEC報告書は欠かせない。

 

> リバースマージャーの詳細はこちら


いずれの上場方法を選択した場合でも、経験豊富な専門家の起用は必須。

アメリカ上場のポイント

ポイント#1 – 上場時の提携先を慎重に選ぶ

正しい知識と情報を持ち、上場時の提携先を選別する事が重要です。

証券会社・専門家は手法や上場の助言を致しますが、決断は会社側になります。株価や上場時の思い違い・株価の陥落で専門家に苦言が無いように、随時確認は欠かせません。

ポイント#2 – 上場の目的を明確にし、専門家としっかり共有する

上場の目的を確実に社内・専門家と常に定める事、さらに四半期毎にその目的を確認することが重要です。買収・非買収・合併・株式の効果的な活用方法、オプション・ワラント、債権の活用方法等、目的に応じて行うべき手段は様々あります。

また、日本の企業は上場目的の本音を避けます。その本音はほとんどの場合、下記のようなものとなります。

  • 創業者・一族が株を売却したい。
  • 投資家の手前、上場せざる終えない。

これらの目的自体は最も代表的であり、米国では常識です。

米国の資本市場には様々なプレーヤーが存在します。上場後、大株主・幹部が売却をしたら必然的に株価は暴落する。

上記の目的を担当専門家に明確に共有しておくことで、上場前に相対で株を買い取ってもらう、等の案が提案できるので上場目的を明確に関係者と論議する事はとても重要です。

ポイント#3- 上場後のIR戦略・株価対策を堅牢に

上場後、四半期毎にSEC報告書を申請します。言い換えれば四半期毎に株主は会社の進展情報を入手します。時価総額が$100m以下の企業は数十万ドルの売買注文で株価は乱高下する為に、十分な株価対策が重要です。

上場後のIR戦略が無い企業の株価も高い確率で暴落、あるいは出来高が低い事が多いです。

上場後の経営幹部の人選戦略・企業の方向性を年内、半期、年単位で明確に伝えられ、米国の報道で流暢に話せるIR人間を準備することをおすすめします。

ポイント#4 – 浮動株割合の戦略

浮動株の割合の戦略を堅実にする事。上場登録(売買が可能な株)の割合の事を指します。売買規制がかかった株式もあるので、注意が必要です。

アメリカ上場ケーススタディ3選

アメリカ上場支援事例 #1

日本のベンチャーキャピタルから出資を受けた米国企業(a)。

本業が苦戦し、投資家に相談した際にベンチャーキャピタルは他出資をしている日本の二社(b,c)との協業を選択させる。一方、同ベンチャーキャピタルが出資した別の米国の企業(d)は上場、その事業が苦戦しOTC市場に格下げとなる。a社が主軸となりリバースマージャーを提案。a,b,c,dは合併・リバースマージャーを経て全社が一社の上場企業となる。

その後a社のCEOが上場企業の米国代表となり、日本のベンチャーキャピタルが四社に出資した当初の額の10倍上以上のキャピタルゲインとして稼ぐ。

アメリカ上場支援事例 #2

日本のIT系企業。創業12年目。日本の事業法人・金融機関・政府系キャピタル・個人投資家が100%株主。米国進出後、5年目には全社の四割を米国で売り上げ、利益は日本の本社を超えるまでに成長。

上場前での資金調達を避け、独自で直接上場 (Direct Listing) を選択し上場。その後事業の好景気時期を見計らい、PIPE(上場企業への私募での資金調達)を実行。当時の債権をほぼ消すほどの額を調達し、無借金となり株価は安定し、株を活用した日米の戦略が打てるように変貌。

アメリカ上場支援事例 #3

日本で1980年代に創業された精密機材製造企業。米国では航空・半導体・エネルギー系企業への販路展開・成長。

米国会社は日本本社の利益を上回り、本社を逆吸収合併させる。米国会社に事前に投資を呼び込み資本を増強。上場シェル企業を探し、リバースマージャー上場を果たす。
(他業種で同様例あり)

まとめ

本記事では、アメリカの株式上場について、企業側の目線でご紹介しました。

市場 (NYSE, ナスダック, OTC) や手法 (IPO, ダイレクト, SPAC, リバースマージャー)を問わず「上場の目的を明確に関係者と論議する事」「経営幹部の人選戦略・企業の方向性を明言できること」「上場時、上場後の専門家チームを常に固めている事」が成功の鍵を握ります。

アメリカ上場についてご不明な点がある場合は、ぜひお問い合わせください。