日本企業の米国株式市場 『1』
< 資金調達・株主構成 >
米国で上場を目指す…、アメリカでIPOを夢見る…、アメリカで事業を成功させたい…、上場をしたいが日本ではハードルが高い為に、選択肢としてアメリカでの上場を検討…、などなど思案される方々、企業様が増えている。一方ではこの数年で約十社程度がNASDAQで上場をしているが、そのほとんどの会社の株は上場後、暴落している。
これは会社や市況が原因ではなく、上場の仕組み・資金調達・株主構成に起因している。
本事業より会社を上場する事が優先となる経営者の方々も多い中、仲介会社・証券・コンサルタントが関与した米国での資金調達の魅力、米国上場を目指す方々のベネフィットとその構造を見てみよう。
米国での上場・IPOの際の資金調達額で$100M以下(約160億円程度)は超小型上場案件とされ、中堅・大手の証券・投資銀行企業は案件を引き受けることはほぼ無い。日本の東京証券取引所上場の際は100億円以上の資金調達額は中堅・大型案件となり、上場支援のベンダーは即契約がまとまるだろう。
米国では、“マイクロミニ上場”として案件を扱う専門家や、証券会社、株式市場のマーケットメーカは限定される。またその規模の上場を、高度な知識と経験で支援できる支援会社も限られてくる。
資金調達:
昨今の日本企業の米国上場は殆どがNASDAQ市場を目指し、最もハードルの低い規約規定で上場を果たす中、上場規約は数種・数規定あり、その主なハードルとなるのが、1)株主資本と、2)株主数の規定二点となる。
1)株主資本の最低必要額:$4M(約6億円)
2)最低株主数は300名柄/社
ほとんどの会社は資本増強と株主の追加募集が求められる。
この重要な2項目を、米国の上場コンサルティング企業や経験企業に支援を依頼しても、実際に何が起きるか?何が今でも起きているか?の実態を、把握、説明、認めるものがいない。その理由は非常に単純で、上場に任せた専門家の容易なIPO支援策にあると見える。誰が上場時の引受け幹事を担い、どのような資金がIPO時に入っているのか?また、引受会社が300名以上の株主をアメリカで募る際の方法に問題が発生する。
この二点に充分な配慮が出来ないと、上場後の株価は暴落し、多くが$1以下のPenny Stock(ペニー=1セント以上の株価が付かない会社)となり、必然的に上場廃止、上場の意図を失うこととなる。その後、上場維持のメリットも無くなり、苦しい経営が迫られる。会社の経営や本業の収益が伸び、改善され、IR(株主広報)活動を行なっても、大掛かりな再編を行わない限り、上場状況・株価はまず改善はしない。
株価:
現在日本企業で米国NASDAQに上場している企業の、上場後の株価を見てみると、上場を果たした会社の9割以上の株価は上場値を下回っている。多くが上記Penny Stock企業となっているだろう。NASDAQ市場の上場廃止を迫られ、廃止となるか、OTC市場に格下げとなる。
NASDAQ上場の際、最低上場取引株価額の、$3〜$4で上場を果たしている。おそらくこの先上場値を上回る事なく、上場廃止、上場を断念する時が来るだろう。問題は様々で、Day Traderの遊び銘柄になっていたり、上場に重要な役割を担うMarket Makerの役割が果たされていないケースもある。上場後、Penny Stockを専門としたDay Traderや超小型Hedge Traderがこの様な会社の株で、数万ドル・十万ドル単位で日々トレードに入るケースが多々ある。平均的に出来高が高く、株価のチャートでのトレンドの境で賭けに出るので要注意だ。
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