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円安メリットを活かすアメリカ市場への海外進出
日本企業が “海外売上依存度” を上げるには?!
2024年4月末に一時1ドル160円を突破したドル円相場は未だ150円台を超える円安が続く。今後も外国為替市場において160円を越えて、170円、200円まで円安傾向のトレンドが継続した場合には日本企業は海外で外貨を稼ぐ体制を整える必要がある。一方で110円程まで円高の押し戻しが起こった場合も、海外での現地法人設立の際には必要なコストが円ベースで低くなるなど、海外進出を行いやすくなるだろう。どちらのシナリオにおいても、日本企業にとって『外貨を稼ぎ、海外売上比率を上げる』ことは、今後より必要になると予想される。
日米の物価とコストの違い
円とドルの価値の差について比較してみる。
物価の違い(2024年現在)
コストの違い(2022年度)
(参考資料:U.S. Bureau of Labor Statistics、Forbes、国税庁、総務省、公益財団法人不動産流通推進センター 厚生労働省)
アメリカでの物価は総合的に見て日本の約2倍。またアメリカの平均支出、家賃および光熱費は日本の約3倍であることがわかる。しかし平均給与もまた2倍。日本にいながら、ドルで収入を得て、円で支出をすることが可能であるならば、ドル高になるビジネスモデルが日本企業にとって強い影響をもつことが読み取れる。
ドル・円の為替相場から予測する『ドルで稼ぐ時代』の再来
過去のドル・円相場から、今後も円安・ドル高が続いた場合、今後は1970年〜1980年代以来の「ドルで稼ぐ」時代が再び到来することが予測される。上記グラフから見てわかるように、バブル後の世に呼ばれる『失われた30年』では、円高の傾向が続いた。円高のおかげで、輸入インフレ・エネルギー価格を抑える事ができ、低経済成長下でも耐えられてきた。しかし昨今の円安・ドル高ではそれらからの脱却が予想され、今後アメリカ市場および海外市場での事業拡大は一層魅力的な選択肢となることが読み取れる。アメリカでの事業展開は、日本での数倍以上の価値を生み出すことも可能であるため、日本企業は今後外貨を積極的に稼ぐ方針を取らざるを得なくなる。外貨、すなわちドルを稼ぐビジネスチャンスに備え、日本企業は何から始めるべきなのか。今後進む道は、選択肢 1:外貨(ドル)で稼ぎ、円で生活をするサイクルを強化する。選択肢 2:円で稼ぎ、円・国内で市場の奪い合い・競争を続け、日本の物価水準で生き抜く。この2択なのではないだろうか。
海外事業展開、何から始めるべきか
海外売上比率を上げるためには、まずコストを把握した上で、それに見合ったビジネス戦略・事業計画を策定しなければならない。アメリカでの事業展開を行うにあたり、そもそもどのような事業形態の選択、ビザ・労務関連の手続きをする必要があるかなど、会社としての耐久力を高めるための下準備を入念に行うことをお勧めする。
ケーススタディ①:アメリカへの輸出
輸出の売上差
― アメリカへ輸出を行いドルで稼ぐ ―
アメリカ市場への輸出を増やすことで、ドル収益を増やし、日本円での収益も向上させることができる。そうすることで長期的に、海外市場で競争力の高い価格設定をすることが可能になる。そうした反面、2〜3倍の日米におけるコスト面でのギャップをどのようにして埋めていくべきかがアメリカでの事業運営において鍵となる。
― 輸出企業のアメリカでの事業運営のポイント ―
・事業にあった登記州の選択
・輸出コスト(関税等)やマーケティングコスト(返品対策等)の調整
・効率的な会計管理の実施
・現地の文化と市場ニーズを理解し市場に合ったビジネスモデルの構築
ケーススタディ②:アメリカからの輸入
一方で円安は輸入コストの増加を意味する。すなわち、円を売ってドルを買う機会を増加してしまうということだ。食料品や製品の原材料等をアメリカから輸入する際に、コスト高となる。これを解決するためには、海外売上比率を上げ、ドルを稼いだ上で現地支社・法人のコストをドルにて適切に管理する必要がある。ドルのみでコストパフォーマンスを維持し、持続可能な事業運営体制を整えることが1つの対策案として挙げることができる。また、付加価値を付けて輸入事業を行う事も対策案として挙げられる。それらの対策を実施するために最初にすべきことは、ヒト、モノ、カネの動きの中から、コスト削減可能なものを把握することだ。
― 輸入企業のアメリカでの事業運営のポイント ー
・アメリカの生産者から直接仕入れ、取引可能な業務体制の構築
・日本で未販売または流通のない商品を扱い、新しい価値の創出
・アメリカ現地事務所での経営の効率化
・JOB型経営の重点化(会計など庶務業務、また販売業務の委託)
海外事業展開の心構え
今後日本国内のみでの事業展開には、必ず限界が訪れるでだろう。可能であれば早めの段階から海外への事業展開を視野に入れ、事業運営を行っていくべきだ。自社製品・サービスのニーズがどれくらいあるのか、現地販売の戦略はどのようなものが良いのか等把握し、海外市場への挑戦に備えていくことを強くおすすめする。物価やコストの違いなど様々なギャップを受け入れた上で、最後に問われるのは海外で事業展開を行う覚悟があるのかどうかであろう。日本とは違うビジネスおよび生活環境を乗り越え、事業を成功させたいと強く思う意思があるかどうかが、最終的に海外でビジネスを成功させる原動力となる。
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