ナスダック・ニューヨーク証券取引所での上場を廃止する日系企業

この10年で数々の日系企業がナスダックやニューヨーク証券取引所(アメリカン証券取引所AMEX)に上場を果たした。主には新興企業である。日本の東京証券所への上場ではなくアメリカの資本市場を選んだ結果である。
一方、日本の大手・優良企業はナスダックやニューヨーク証券取引所・OTC取引所の上場を廃止する傾向が目立つ。
新興企業の米国市場での上場後は、どの企業も必死にIR(Investor Relations:インベスター・リレーションズ=株主広報対策)を頑張ったように見受けられるが、分析を続けると、これらはIR活動ではなく広報をしているだけの活動と見受けられる。株価を上げるために米国内外でPR Newswire(公示広告)を流しているに過ぎない。

さらに上場時の目論見書(SEC米国証券委員会向けS1上場申請書)を見ると、どの企業も資本政策がなく、上場時の幹事証券が根拠に乏しい企業評価を算定し、上場時の資金調達を行なっている。上場後の企業は2−3社程度を除き、殆どが10分の1、20分の1程度まで株価は暴落し、PENNY STOCK化(ペニー=$1を下回る現象)している。上場時に引き受けた大株主が大量の売り注文を常時市場に流しているため、幾ら株価を上げようとIR活動を行なっても、火に油を注ぐ現象となっている。
上場廃止になる規定はいくつかあるものの、株価がPENNY化するということは証券取引所からすると上場価値が無いと見なされる。
要は上場を廃止するか、株式取引所予備軍のOTC取引所(店頭)へ蔵替えをすべきとの宣告である。

そもそも、企業はなぜ上場をするのか?
根本の資本政策や資本市場を把握せずに、上場を果たした企業は、殆どが5−10年以内には上場廃止、あるいは消滅している。
上場するメリットより、会社経営自体を悪化、退化させる隠れた薬があるのが証券市場である。薬の後遺症・効果性を把握できずして米国・日本でも証券市場では生き残れない。
日本では、”上場企業”となるだけでも定評や信頼が上がる。銀行も融資先や取引先、企業間でも上場後には、契約が容易にまとまる傾向が顕著に表れている。
企業は、『上場をする事が上場である』と見なす傾向が強く、上場後の維持メリット・PUBLIC COMPANYであるメリットを生かせていない。証券・資本市場と対話ができていないのである。

米国の証券市場に限らず、最近では外国人株主比率がだいぶ上がってきている。2024年3月末時点での東証上場企業における外国人投資家の株式保有比率(時価総額)は32.4%となり、前年度から0.6ポイント上昇して過去最高を更新している。日本市場も米国市場と変わらず上場維持の厳しさは増している。

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