Category: 経済・市況・政治

2019-06

日系企業様の米国支社・支店に於いて、この一年で益々ビザ取得の問題が厳しくなってきております。そんな厳しい米国進出の中でも引き続き社内の運営に苦労を苦労をされている赴任者や企業が少なくありません。米国拠点が人員管理、総務、人事面で専任を起用して運営する規模ではないという背景、またビジネス面では『経営の上層レベルの責任者が自ら赴任し、支店を経営するケース』が時代とともに減っている点も避けられません。 [ 事業面 ] – 折衝 – 米国の先端技術の社会で、日本企業は、技術・経験・能力・期日厳守・品質等、最も信頼があります。問題は言語でのコミュニケーション能力ではなく、対応=その都度の常識判断と決断・提示・返答です。個人の判断と本社との疎通をどのように表現をし、取引先に返答するか。その曖昧さが結果的に『何を考えているのかわからない』騒動になり、ビジネスに繋がらないケースが多々見受けられます。ビジネスの本質、技術・価格や納期等では無く、米国ビジネス社会との“折衝”が鍵になります。 – 決断 – 大半の会話で“即決ができない”という印象を持たれてしまうと交渉には不利です。また確認、回答、決断、同意、を1~2日単位で進めている企業に対して、その流れに沿えない取り引きは遅れを取ります。他国籍の方々は決断・返答は早いが、“いい加減・約束を守らない”風潮が見られるので、日系企業は決断のスピードを速められれば商談の悩みは減ることでしょう。 – 書類/契約 – 英語で商談や契約をするので、通訳・翻訳・弁護士は避けられませんが、その書面の決済をするスピードを効率化することは重要です。米国での法務確認、幹部決済が2-3週間で下りるところ、日系企業の支社を通じて、本社・本社弁護士、和訳、会議(役員会)、部長承認、支社への通達で2-3ヶ月かかってしまい、取引が流れるケースがあるのも事実です。 – 提案 – 本社からの赴任者で、国際的なビジネス感覚に慣れた方でも、交渉・折衝は容易ではないようです。現地で信頼のおける経験者、専任のレップ(営業・交渉代行)制度の活用も大きな戦力となります。 [ 人事/総務面 ] – 赴任者 – 赴任者選びから、ビザ取得、渡航契約、経費、着任、その後支社で慣れる。その期間は約1、2年がかりの庶務になりますが、その後、短期間で帰国、退職、現地で転職、あるいは罹患されるる、などケースは様々あります。 駐在員の初年度経費はその方の年収の約3倍。着任後は最低2倍。現地赴任で赴任者が孤独感に陥るケースも見受けられ、それにより退職や転職も起こります。会社側では、赴任者の帰国後の役職、ポジション、年齢をよく考慮し赴任計画を進める必要がありますが、企業によっては海外進出が初めてや不慣れな場合は赴任すること自体、不安材料になり、後任者にも悪影響を及ぼします。 長期間化した赴任期間で、あるいは短期間すぎたことで会社が損をするケースなど様々です。また赴任先の環境によっても事情は変わる中で、カリフォルニア(シリコンバレー)エリアは日系企業赴任者にとって、気候・治安・家族生活・教育環境を踏まえても世界で3位以内に入る赴任人気希望先で、帰国辞令を出すタイミングで退職を検討されるケースあります。企業側としては効率性を考えると、Lビザ/Eビザの一区切り、5年前後が理想と思われます。 – 現地雇用 – 最も多いトラブルで、原因としては、雇用・就労の日米の常識違いあるいは管理体制・差別管理の問題が第一。またルールや法律で守られているアメリカでは、何から何まで書面にて提示・同意を得る必要が本来あり、日本での常識は通用しないことが発生します。合わせて米国、特にカリフォルニア州は労働者を保護する傾向にあり、さらに問題がこじれ、裁判・法的な手段となった際には、不利に判決が下りたのではと思えるほど日系企業には困難な状況となるのが多々です。 主な事例:差別(男女、人種、赴任者と現地雇用、同性)、休暇(買取・有給)病欠(診断書、仮病)、解雇(原因、通達)。 – 総務 – 保険加入の有無。労災、ビジネス保険、赴任者の健康診断。それらの明確化。 赴任者・現地雇用者がお亡くなりになられるケースがあることも事実です。過去の事例では、事故:スキー事故、ヨセミテ登山中転落、交通事故。罰則:飲酒運転+事故⇨留置、家庭内暴力DVで逮捕⇨強制送還、死亡:心臓麻痺、就労中ストレスが原因の脳梗塞、睡眠中の過呼吸。など。 また、[…

2018-11

半導体スーパサイクル説はどうなっているのか? 今各企業の市場価値がそれを物語っています。IT次期世代の川上となる半導体大手装置メーカーApplied Material社、KLA-Tencor社は多少反発はあるものの、この2ヶ月で2017年1月時の収益予想収益率まで下落。Texas Instruments、ASML、Tokyo Electron社は、2017年4-9月の予測収益率です。各々の先物(2019年3月、6月)のオプション行使価格を見ると、下げと上げの予測取引高が均衡されている状態です。今、市場が注目しているのは日々の動向ではなく週単位で何兆円($10-30bn)のポートフォリオを入れ替えるヘッジファンド/Private Equityファンドの動向です。GAFA、FANG等の主要ハイテクの収益が良くても、主要製造メーカーが成長できるための設備投資/市場借入債券金利が上がれば収益を圧迫しかねません。この1-2年の好景気はあくまでもトランプ政権の政治活動の期待値で良かったという事を物語っています。 とりあえず11月のFOMC会議で、今年重ねて利上げをして来たFED中央銀行は利上げを据え置き、12月の同行を注視しています。(あがらない予測が大半) 2000年のITバブルの際は半導体需要はPC向けでしたが、現在はIoTという言葉に代表されるように「全ての物を情報ネットワークに接続」という時代。その「全ての物」には半導体が必要となり、半導体関連企業の業績、実需要と供給が注視されています。 今週サンタクララで『IOT TECH EXPO North America』の主要展示会がで開催されました。ここには大手の運用ファンドのマネージャー/投資家マネージャーが市場を探り、今後繰り広げられる会社の空売り、投資、バイアウトの集約戦略が繰り広げられていました。どの産業にどの投資先企業を集約し、上場、売却するかの見極め戦です。 今週アルゼンチンG20首脳会議での米中首脳会談で市況の下支えが見られれば、年末に向け上向き景気で年末を迎えることなりましょう。やはりトランプの出方がすべてをにぎっています。 記事:ジャパンコーポレートアドバイザリー 代表 平井 聡

2018-11

あなたの株は何時が高値?安値? 以下のチャートは、米国株式ダウ(上段)、日経平均(下段)の約50年間のチャートです。日本は敗戦を経て高度成長景気を向かえたものの、80年代にバブル経済崩壊後(1989年)未だにそれ以上の経済を取り戻せず、少子化、ほぼ財政破綻状態でいます。日本で2000年以前に住宅購入された場合、値段が上がっている方は殆どいない状態です。一方米国(シリコンバレー・サンフランシスコ)で30万ドル(約3、300万円)一軒家を購入されていれば、$2m(2億円)以上となり、それを担保に1億円の住宅をもう一軒保有、あるいはさらに高額の住宅へ買い替えている方が多くいます。地元出身の家庭であれば平均で2億円の資産は保有しています。 人間は多々、“株”が下がった、上がったと言われることがあります。 皆様の人間の株は今どこいるのでしょうか? 高値、安値?上り調子?下落?調整中? 米国株式ダウより         日経平均より         米国資本市場に例える人生相場 通常人間は相場と同様で何もしなくても成長するものです。(人生の成長維持可能ライン:図内 赤点線)相場とは企業、景気を反映するものですので、調整、下落を重ねならが上がります。半世紀の中で2度3度のボトムは発生します。 経済では1900年-1960年に世界大恐慌が発生、回復するのに約25年かかっています。図内の青丸は1980年から2018年の間に起きた二度のボトムです。 人間でいうと、30歳前後に到来する結婚期、子供、職務での第一次スランプ、40歳前後に到来する管理職/中年期時の調整がそれにあたります。 我々が生きている、2000年から2050年は高度の技術発展期です。『馬車から自動車(国道)』、『電報、電話からモバイル』、『新聞からソーシャルメディア』、そして人工知能、電気、IOT、人の考え方も思想もデザインシンキング等が台頭し大変革真只中です。 この成長は通常のペースでもなく市場参加者のストレス/労力の活も異なります。今は銀行ではなくベンチャーキャピタル、プライベートエクイティー、事業投資(ソフトバンク社等)が主導しています。1960年代から1980年代に30−50歳代だった方々の時の成長とは5−10倍スピードも違うのです。 自分の株価 『自分の人間の価値は測れますか?』 社会貢献であったり、所得がその一例ですが、年収は何時が最高値であるのか? 若ければ “年とともに上がる” と楽観視してしまいがちですが、45歳前後でそうではない事実に気付きます。自分の価値に気付き、体調を壊したりするのが35−45歳でしょう。その前に転職、道を変え、人生の調整期を貯蓄、健康管理で乗り越えなくてはなりません。ボトムが見えた方のその後の株価は上がる一方です。転職、結婚、再婚、異動、赴任に向いています。転職はボトムを向かえた後、自分の強みの認識も上がり、力が活かせる職場、外資系など、転職も機会となります。年収は倍、3倍となり、その後の解雇リスク、再転職にも立ち向かう力量が生まれます。 1987年ダウは2500ドル、今はその10倍です。住宅価格と同上昇率と言えます。皆様の所得、貯蓄、財産が今、1、2、3千万円(10−30万ドル)の方々の10年後にはその2−3倍になりますでしょうか? どうすればその様になるか?ということを考えて相場を先読みされてください。 株価は値段だけではない NPO所属、社会貢に献従事、そして専業主婦の方々は金銭では測れません。社会的貢献であったり、自己満足でも価値/魅力は上がります。一生懸命働く旦那様の支えをされる主婦の方々、育児教育も大切な社会価値となります。株式相場は半年先を先読みし乱高下します。家庭を守る女性などはご主人の半年先を読み、心身を支えて家庭の反映を下支えるサイカロジカルバリューを持っていると言えるでしょう。 ジャパンコーポレートアドバイザリーでは米国法人の開設・設立やM&A、財務・税務、さらに人事や管理業務、事業運営をワンストップでサポート。コンサルティングだけではなく実務レベルのサポートも行います。無料相談はこちらのお問い合わせページから。

2018-11

~民主党下院を制覇・FOMC貸出金利利上据置~ 現カリフォルニア州は民主党の州。現ブラウン氏州知事、そしてニューサム新知事(元サンフランシスコ市長)も民主派。ニューサムのお父様(元州地方長官)には私個人的にもお世話になりましたが、有名な民主思想家です。この方々はゲッティー財団(元ゲッティー石油、TEXACO社に吸収)の資金に密接な繋がりがあり、ベンチャー事業への投資・融資、下院委員の(SF選挙区)ナンシー・ポローシーさんの支援元でもあります。オバマ政権以来、民主の下支えが色を増す地元社会となると言う事でしょう。ベンチャーマネー(サンフランシスコ・シリコンバレー界隈)での先端技術・IT新発想的な事業は民主系資金が大半です。 ビザ・査証への影響 この1年半程、日系企業の赴任者ビザ取得では皆様アメリカ領事館の面接で、“アメリカ人を雇用しなさい!”と脅されて参りました。現法・支店での現地雇用に対しては非常に厳しくなり、運が悪い日系の方が(SFO、SJ)空港で強制送還に見合うケースも聞かれます。大統領は大統領発令権を持っています。上下院を制してきたこの2年間は共和党のやりたい放題でしたが、下院を征した民主党の力が巻き返し、移民方針を緩和する傾向が徐々に進む事でしょう。 Eビザは日本のアメリカ領事館、米国外務省Secretary of States管轄です。先日ポンペイヨ国務長官が日本を訪れ、駐日米国大使と面談をしております。暫くは日・米関係の厳しい規制は続くことでしょうが、2019年後半から緩和が期待できそうです。一方、駐在員Lビザは米国内で移民局にビザの申請承認を取り、直接的に議会/発令に影響されますので、Eビザよりは緩和のスピードは早まることと期待されます。 この12-18ヶ月間の好景気はあくまでもトランプ政権の政治活動の期待値で良かったという事を物語っています。下院を制した民主党の活動に注視したいものです。 記事:ジャパンコーポレートアドバイザリー  代表  平井 聡

2018-09

米国政府が望む、日本企業の米国支社・支店 都市の景気動向 好調な米国経済と言われてはいるものの、それを実感できるのは主要都市のみが中心。サンフランシスコ/シリコンバレー・ロサンゼルス・ニューヨーク等の都市では、住宅、家賃の高騰で就労者の給料が生活費に追い付かず、引っ越しを迫られる会社員が後を絶ちません。そのベイエリアでは Facebook, Amazon, NetFlix、Google のFANG企業中心に、事務所の賃貸も高騰し、何千人もの雇用がその界隈で生まれています。しかしその一方そんなカリフォルニア州でも、1、2時間程車で走った郊外では、小売・飲食の店舗空洞化は続いており、産業が少い他州での失業率は5%~8%を継続している都市もあります。 日本の技術 物作り都市での得票を強みにしている現大統領は、“質より量”の米国製造の産業構造を強化していますが、ここベイエリアでは日系企業の技術や職人技が欠かせず、日々注目を集めています。 弊社でも、自動車、半導体、製薬、バイオ、IT全般、VR、AIなど、各産業で、基礎となる技術を持った日本企業模索の依頼が続いております。それに於いては、可能性や技術力ではなく、何より “スピード対応とその決断力”を持っていることが重要です。また弊社サポートは折衝、交渉、提携、契約は勿論の事、必要に応じた戦略立案から資金投資・融資、パートナー支援も致しておりますが、常に決断と返答が壁になるケースが多々生じます。どのような展開かを先読みし、判断ができうる態勢をつくり、折衝に臨み、出来るだけ即判断、返答をすることをお手伝いしております。 米国政府が望む、日本企業の米国支社・支店 米国政府は、何よりも日本から米国への投資を望んでいます。 機械の購入、事務所の契約、外注企業との契約、取引先への投資、ベンチャー投資、企業再生投資、破綻救済投資等による雇用の保護・確保は最も高感度が高い企業です。勿論支社・支店への資本金も課題です。その使い道が重要となり、赴任者のビザ取得の際は、この点が大きなポイントになります。 投資はRisk  Money。 本社・自分の借入れではなく、自己資金であること、雇用を生む事、合わせて雇用=消費となる米国経済では源泉が何よりも重要です。消費は米国経済の経済成長率の大動脈です。また健康保険や年金制度の資格加入者を支える雇用形態も必要でしょう。 ジャパンコーポレートアドバイザリーでは、米国、日米間の事業をサポートしております。 事業・企業の規模、各産業、予算・期間、状況、など様々な要素を踏まえ、お手伝いしてまいります。 まずはお気軽にご相談ください。