移民法違反がIRSや労働局との問題に発展する場合。

移民法違反で移民局から調査を受けた場合、 IRSや労働局とのトラブルに発展する場合があります。これは移民法違反をした雇用者の多くが同時に労働者の源泉徴収を行なわなかったり、または労働法の規定にも違反をしているからです。
このような場合、雇用者は移民局だけではなく、IRS、DOL( Department of Labor)、SWA (State Workforce Agents) 等からも調査・告発を受けることになり、業務に著しい障害が発生することにもなりかねません。

移民局 の調査からIRSの調査へ

IRSとは日本の国税局に該当する機関ですが、日系企業の中には、「移民局よりもIRSが怖い」という理由でIRSへの対策は十分に行なっているのに移民局への対策がおろそかになっている所が目立ちます。しかし、移民局の調査が入り移民法違反が発覚すると、連動して源泉徴収義務違反も発覚するケースが目立ちます。この場合、後日IRSの調査(源泉徴収部門)を受ける可能性が高くなり、その調査で今度は所得税または会社税違反を指摘される場合もあります。その際、企業は①移民法違反、②源泉徴収義務違反、③所得・会社税法違反を追求されることになります。
Photograph of a U.S. Department of Homeland Security logo.

移民局の調査から労働局の調査へ

H-1Bビザのサポートをした雇用者が、決められた給料を支払わない場合は、労働局の調査を受ける可能性もあります。これはH-1Bビザ申請の際、雇用者は労働局に対しても、「H-1Bビザ労働者を雇用することで、アメリカ人労働者の職を不当に奪うことはしない」旨の誓約をしているためです。
しかし、H-1Bビザ申請時に添付した LCA (Labor Condition Application) に記載した給料を支払わない場合、『「外国人労働者を不当に安く雇用した」ことにより、アメリカ人労働者の職を不当に奪った』ことになります。このため、労働局の調査対象となるのです。
労働局は移民法とは別に労働法上のペナルティーを雇用者に科すことができます。この場合雇用者は移民法上のペナルティーと労働法上のペナルティーを受けることになります。