ナスダック・ニューヨーク証券取引所で上場している日系企業の株主対策・IR活動
上場後、株価をどうやって上げるのか?
なぜ株価はIPO上場時のレベルに戻らないのか?
この約10年で米国株式市場(ナスダック・ニューヨーク証券取引所)に上場した日系企業は
20社弱ほど存在する。その内、数社は上場廃止を選択、あるいは取引株式市場より上場廃止に追い込まれている。アメリカの株式市場で上場を果たすことだけでなく、『上場後の株価をいかに再生するのか?』、『いかにIR活動をして時価総額を取り戻せるのか?』が重要となる。
上場廃止の条件:
1)ナスダック市場の場合、取引株価が$1を一定期間下回る。
2)時価総額が(第三者の取引可能な株式)一定額を下回る。
上場時の時価総額:
この原因を遡って調査すると明らかな弱点が見えてくる。
まず近年、上場している日本企業の多くが新興企業が多いことが挙げられる。中には日本国内で上場せず直接米国で新規上場する企業も多く、知名度も事業内容も米国市場や世界では知られていないことが挙げられる。
日本の決算書を米国会計基準に変換をして、雛形の上場目論見書に社名やビジネスモデルを書き換えたというような内容になっている場合もある。
また上場・IPOの際の主幹事も事業を追及することなく、ただ単純に資金調達をするのみ、という実態も見えてくる。
多くは年商が5億から20億円程で利益が出ているかいないか、という規模の企業。将来の展望やキャッシュ予測も見えない状況で$80m(120億円)〜$200m(300億円)の時価総額で上場を評価する。その結果、KURA SUSHI以外のほとんどの企業は上場・IPO時の約10%(10分の1)程度の時価総額まで暴落し、再生が全くできない状況で休活動的な取引銘柄と化している。必然的に取引市場はこのような銘柄を注意銘柄として注視をし、その後上場廃止を忠告する事態へとなる。
上場時の取引実態:
このような新興系企業の米国での時価総額は、超ディスカウント評価が市場で起きている。
どのような企業実態・財務状況でも、時価総額は$10mから$20mが基本で、それがスタート地点となり、ここから何をして時価総額を上げられるのかを考える事が重要となる。
この原因の背景には、市場放出株数と上場後の出来高に起因する。
上場企業のIPO時の会社の放出株式割合平均は15%程度。その殆どが上場時の機関投資家である。上場時の規定で、それ以外に200-300名の小口投資家がIPO時に入ることが義務付けられている。結果上場時の株主構成は以下となる。
・ 85% :創業者(関係者) (原則上場後半年間は売買禁止)
・ 14% :上場時IPOの機関投資家
・ 1-2% :上場時の200-300名の小口投資家
一般的にIRでも株主広報対策活動は、上記1-2%保有の200-300名の小口投資家向けとなる。彼らがDAY TRADE的に株価を暴落させている。
小口投資家が非常に薄い出来高で株価を上げても、14%程度保有している機関投資家が桁違いの株数で売りを出す。機関投資家はIPOで利益を出せないと見切ったら損切りを仕掛けてくる。
どのレベルでも売りを出し続けるので、株価が暴落したレベルから再生することは決して無いのである。IR活動と言って活発に広報活動をしても焼石に水の状態となる。
改善策:
上場時に資金提供をした機関投資家(ファミリーオフィスが大半)で、上記の14%程度を保有している投資家と折衝をすべきである。
重要なのは、上場時に主幹事証券会社は、これらの機関投資と企業とを繋ぐ事はしていないことである。通常の大型IPO上場時には常識的にROAD SHOW(IRのイベント)を通じてIR活動を行うが、この活動を行っていない場合が多いようである。
長期の安定株主になってもらうための説得、説明、を定期的に行うべきである。
ただ、このような新興企業のIPO時に入る機関投資家は投機筋がほとんどである為、接触をしても短期で利益を得る提案にしか耳を傾けない。
損を覚悟で売り抜かせる提案が理想である。上場時の主幹事ではなく、別で証券会社を起用し、それらを通じて機関投資を入れ替える策である。
並行して小口の投資家にはIRの広報で市場と対話をすることである。
IPO時の時価総額に戻ることは決して望まず、暴落した値段から2-3年かけて徐々に米国に株主を増やす策を講じていくことをお勧めする。
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