Category: 米国子会社・支店進出 立ち上げ/進出情報

2016-10

〜 現地のプロに任せた、結果を重視 〜 アメリカで支社を立ち上げる日本企業の多くは、駐在員を赴任させ、その駐在員が現地スタッフの採用から運用までの全てを担当するという方法が多く取られていました。近年は、現地法人・支店の経費が年々増加の一途をたどり、駐在員のビザ所得が難航するケースも増えているため、支社の業務のほとんどを現地化する企業が目立つようになってきました。このようなやり方は、ヨーロッパの企業などがアメリカで支社を立ち上げる際によく見られる方法で、立ち上げが決まるとすぐに現地でその分野の専門であるコンサル、REP販売専任会社、購入(procurement企業)ビザ、会計、経理、税務などの専門家と、事業の業務ができる人員を雇うので、本社から来る赴任者は本来専門としていた業務に専念できるという優位性があります。 主業務以外はアウトソース(無人、一人現地法人も多々あります) アメリカで専門家を雇う場合、会計・経理以外にも、雇用、交渉、米国企業との折衡などと言った業務のほか、メーカーとの見積もり業務、輸出入、発注・受注、取引先との連絡や在庫管理といった貿易・販売・仕入業務など、支店の主業務以外の業務のほぼすべてをアウトソースすることもできます。 もし、日本からの赴任者がアメリカで社員を雇用、研修を行って管理をするとしたら、考えられるだけでも、現地での邦人(外国人)の雇用、もしくは日本での新規採用と赴任候補者の選択、赴任候補者のビザ取得などの手続きが必要で、それなりの時間と費用もかかります。 現地で人材を2人雇用すれば、福利などを含め、月々1万ドルから1万5000ドルの費用で年間税金を入れ$20万ドル以上かかるとみられ、その費用はアウトソーシングすることでかなり抑えることができます。また、駐在員が1、2カ月かけて行う米国企業との駆け引きも、コンサルタントに任せることでかなりの効率化が図れます。また、ビジネスの駆け引きの文化による細かな違いや、担当者が専門外である、また想定外に時間がかかった場合など、多額なロスにつながることも考えられます。 現地での経営を安定 外国の企業が現地で雇用、経営して安定成長するには5−10年かかると言われています。 駐在員がアメリカに赴任され、アメリカのビジネススタイルに慣れるまでに3年、言語も含めビジネスで趣旨を実行できるまでに5年、結果が出せるまでに5−10年かかるといわれている程です。その間、特にシリコンバレーでは技術/事業傾向も3年で変貌します。そのん変化の波を読み結果を出す。。。 シリコンバレーでもアップル社に部品を納入していた日本企業が、現地支店を立ち上げたものの、数年後に台湾の企業にとって代わられたり、ミルピタスにあった大手メーカーが撤退するなどの事態がみられています。 日本の企業は「現地でスタッフを雇って、海外の支店・支社を強くする」という方針で進めている企業が現在も多いのも事実ですが、それ以外の方法で短期で確かな結果を出している現地法人・支店も増えています。 ジャパンコーポレートアドバイザリーでは、会計、税務庶務を通じてお客様の現法の人材、雇用、運営、ビザ取得、提携、M&A等々、様々な支援を行っております。

2016-05

米国の支店・駐在員事務所の監査・税務罰則 米国支店や駐在員事務所を立ち上げられ、その責任と任務を任させられている方は多いことでしょう。また、前任者より半信半疑で事を引き継がれ今日に至っている方も少なくないことでしょう。ここ最近の米国移民局・税務局の動向を踏まえ、幾つか留意点についてあげてみます。 個人・事務所(支店)に於ける税務申告の区分け 米国では家賃等の別途日本では所得税務控除になりうる経費は個人の所得とみなされます。最近、税務局は移民局とデータを共有し徹底的に審査をしているようです。申告を避けていた駐在員の日本での所得や不動産・有価証券等の収入が後に判明し、その支店・駐在員事務所が過去(日本本社創業時以降すべて)に遡りすべてを申告させられた方もいるようです。 給料体系 米国滞在・ご赴任中の皆様の給料・補助はどこから支払われ、どの銀行口座に入金されていますか? ◎ 日本で手当てを受けている。 ◎ 日本で給料の一部を受けている。 ◎ 駐在手当てを給料としてではなく支店が支払っている。手当て・経費を負担している。 上記のように企業の規模や状況によって様々と思われますが、基本的に米国では所得とみなされますので、連邦・州の税務内容に関して、専門の方と相談をされて正しい申告をされてください。一度問題となると自身のソーシャルセキュリティーのみならず、支店・会社がブラックリストとなり赴任後、会社にその負担が回ってくるケースもあります。 米国での売上の税務申告 『米国の企業との売り上げを直接日本本社に上げ、米国での利益・税務を避けるケース。』このような支店や駐在員事務所を厳重に取り締まっていると見え、誤った税務申告や経費に対して売り上げが発生していない事情を察知され、IRS(国税庁・歳入庁)や州政府より幾度もの尋問書、書類訂正書等が届きます。過去に遡り米国企業との取引明細を尋問されるケースも出ているようです。ただこの場合米国に支店や事務所がなく、すべて日本より対処をしている場合は別です。 ほとんどのケースにおいて、支店・事務所での『調査・サポート』費という名目で、実際は営業・売り上げを立てている場合は明らかな『脱税行為』とみなされます。取引先での税務申告にて、その売り上げ経路や取引先は明らかとなります。 駐在員の就労ビザ書類 昨今の景気により就労ビザの取得は厳しくなり、その枠も狭まる現状のようです。新規の立ち上げやビザ申請は安易に手続きできても、更新時に厳重な尋問書の末に更新ができない、と言う方もいらっしゃいます。ビザの申請は年々必要とされていた詳細内容枠を超え、厳しい尋問を受けるケースもよく目にします。取引先とのメールの内容・出張の回数・出張時の航空券・出入国回数とその証拠、利用した空港の詳細、等々は義務付けられるわけではないのですが、証拠を出さないと説得ができないケースがあります。ビザの申請書類を就労の目的が営業(売り上げ)かそうでないかが、一目瞭然となるわけです。 些細なケースや手間を省いた結果、個人から支店・本社の総調査(AUDIT)となり、多大なロスを招きます。米国は戦費や景気が減速すると、税収入のノルマが発生し、その結果、連邦・州・郡・市の運営に悪影響を及ぼし、このような景気を取り巻く環境によって、我々日系人が関わる事業やビザにも大きく影響を及ぼすと言えます。 2016年5月27日発行 J-Weekly #1321号 より