アメリカのスポーツ文化とマネー

年が明けるとアメリカのスポーツは、毎年2月上旬に開催されるアメリカンフットボールNFLの決勝戦を目前に、まずは全米大学フットボールのプレーオフ決勝、National Championshipが開催される。2022年は1月10日に行われ、約40年振りにジョージア大学が優勝を果たした。勝ったジョージア大学のクオーターバックは、大学リーグでさまざまな名声を勝ち取り、まさにアメリカンドリームを見て楽しんだインベントである。
この様に、米国大学のフットボールが代表される様に、アメリカスポーツ界では最もお金が動き、選手によっては貧困から脱却する夢を抱いている産業である。またアメリカの歴史を学ぶ面白い産業でもある。

大学フットボールが語るアメリカの歴史

National Championshipの元となるアメリカでの大学フットボールの試合は1869年に始まった。日本で明治維新が始まりかけた頃である。大学フットボール決勝戦は、元はIVY LEAGUEである、プリンストン、コロンビア、イエール、ルトガーズ、4大学のスポーツ戦(日本で言う6大学野球であろうか)という時代背景がある。名門YALE大学が最も多く優勝をしているが、YALE大学はアメリカ自体が独立した前の1701年に開校した歴史古い大学である。その準決勝戦が、よく耳にするSugar Bowl、Cotton Bowl、Orange Bowl、そしてRose Bowlである。大学リーグは各支部(カンファレンス)に分かれており、それらでの勝者が決勝戦に上がる経緯があるが、具体的には様々な勝率等で決まる。

米国の独立・南北戦争・奴隷制度

1902年にRose Bowlから始まったBowl Gameだが、その開催地、砂糖=Sugar Bowl、綿=Cotton Bowl、オレンジ=Orange Bowlは、米国の独立・奴隷制度に関わる過去に繋がる土地であるのが興味深い。各々開催される球場所在地(Sugar Bowlはルイジアナ州ニューオリンズ、Cotton Bowlはテキサス州アーリントン、Orange Bowlはフロリダ州)と、その地域人種差別が今も残る地域である。それは何故か。南北戦争はなぜ起きたのか。奴隷解放制度(リンカーン大統領)と南北戦争が起因する主現地、その中心地でもあるのではないか。

人種差別と米国地場産業の発展

年を追って、IVY LEAGUEスポーツから、昨今では、アラバマ州(州立大学は昨年度優勝)、ジョージア州(本年度優勝)、オクラホマ州・テキサス州・オハイオ州(王者に打ち勝つチームが集まる地域)が最も強い大学として君臨し、NFLのプロリーグに選手がドラフトされる文化が常識となった。

元々は観光とビジネスのためにこの地域を宣伝する方法として始まったと言われるが、早くからの全米の商業的都市、要は、Sugar、Cotton、Orange、そして奴隷制度・解放制度、南北戦争が泥沼化(あるいは関係)した地域である。
またその一連とも言えるのが、ワシントンD.C.のNFLのチーム、現Washington Football Teamは、ワシトンレッドスキンズ(Red Skins)として、元々インディアをモチーフにした名前とロゴであったが、“レッドスキンズ”というチーム名が人種差別的であるとして一新した。

しかし現在では、人種・文化を超えて、アメリカの移民人種は国の過去を忘れ、国民皆が楽しめる時期がこのアメリカンフットボールの決勝シーズンである。

動くマネー

NFLの選手の平均年収は約$$850,000(9千万円)。第一枠でドラフトされたルーキーの平均年収は約$2.2m(2億4千万円)。一流現役選手は年収$45mが最も高く、$40m(年収40億円以上)程度は当たり前の世界である。監督でも大学で年収$8m、NFLでは$10mは超える。(大学選手は報酬を受け取れない)
大学の”Bowl Game”の勝者チーム(大学)には、約$30m程の賞金が与えられる。また、NFLの決勝戦であるSuperbowlでは、当日コマーシャルへの広告費は、昨年で$5.5m、今年は$6mと騒がれている。また、献金も見落とせない。このベイエリア出身、N F L選手の中でも特に有名なトム・ブレイディも、自身の出身校、サンマテオのセラハイスクールへの献金をしており、同校のフットボールフィールドはBrady Family Stadiumと称されている。そしてオレゴン大学の卒業生であるNIKEの創業者フィル・ナイトにおいては、昨今$500m(約575億円)の献金を大学スポーツに提供した。

この週末からN F Lではスーパーボウルへ向けてプレーオフが開催される。

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