2020年、2021年と続く新型コロナウィルス感染症は日米の企業や個人に様々な発想をもたらしている。以下は弊社にご相談を頂いた案件をご紹介する。
ビザ/永住権取得
ビザの発給が一時止まり、更新・新規取得が困難になった。ビザ発給の為の面接予約は平常通りに戻りつつあるものの、以前とは難易度が上がっている傾向がある。また永住権の待ち時間も1-2年程度は遅れが出ている。
日本のワクチン事情(特に本年春頃)や、政府の行動に嫌気が差すなどから、日本を離れ海外で移住したい、と思う個人や中小企業オーナー様からのご連絡が多い。ハワイ/ロサンゼルス/ニューヨークなどは人気が高い移住候補先。だが現実は事業を主軸に移住する為のビザの取得や、永住権取得までの道のりは3-6年の覚悟が必要である。その間“事業がビザを支えられるか”、が全てである。米国で事業登記/起業/事務所の賃貸/現地雇用を調査、それらを決断するだけで一年は労力が掛かる。しかもビザ取得の確約はない。ビザはどの様に取得ができるかではなく、それには”何をしたいのか”、が重要でそれにより、どのビザを取得するのかが決まる。
この順序を誤ると、移民局の審査官は大体のケースで移民の意図を見破ることとなる。米国移民はあくまでも事業(米国に得を生む)と資金有りき。事業の契約をビザ取得と永住案で綿密に、そして堅実に図る必要がある。
独立/定住
ロサンゼルス、ハワイは日系人にとって米国の理想移住先。ベイエリアはその地に駐在・訪問をされた経験のある方のみが理想の移住先として経験値で夢を見られる事が多い。
気候、文化、人間関係、就労環境は何と言っても日本とは比較ができない。しかし、全ては仕事とその収入に尽きる。米国で事業を始める、または事業を買収して独立する方々も多々いらっしゃるが、機会に遭遇・巡り合ってからその7-8割が断念をする結果に陥る。
住宅、物価面で見ると、例)夫婦・子供1-2名のご家庭で、ベイエリア、ハワイでは$20万ドル、ロサンゼルスでは$15万ドルの年収を稼げなくては続かない。目先ではなく、10年ー20年継続できなければ家賃、住宅ローン、子供の大学費用の負担ができなくなる。(ちなみに米国の大学は州立で年間$3-4万ドル、私立で$6万ドルは掛かる)
独立/定住を考えるのは30、40代が殆どである。切っ掛けは大半が赴任/留学が多い。50歳代以降で突然の海外移住構想は絶対にお勧めしない(二重生活はあり)。独立して60代、70代まで安定して生活され、米国で引退、日本へ帰国される方々には特徴がある様に思える。単純なことだが、自身や日本特有のモノを武器として生き抜いていることである。あるいは世界でも稀に見る才能を保持している方。ベイエリアでは長年日系企業で培ってきた技術の根源発想を持っている。飲食・娯楽であれば日本特有の調理/オタク思想を米国ににじませるコツを知っている方。そしてそれらを行動に移せる説得と実行力がある方。
事業の再編/吸収合併
米国の拠点を再編する指示が、本社日本から通達されるケースが目立つ。
人員・経費の削減から、拠点の統廃合。これは非常に心苦しい作業である。そしてこれを機に会社を辞める決心をされる方が多い。帰国前に日本の人材会社に相談、Linkedin /Indeed等の様な求人につながるサイトを活用し、活発に行動を取られる方々が目に付く。
再編では、まずは米国市場で放置してきた事業構想の見直しを迫られ、結果再編となるケースが多い。一方で支社/支店の統廃合、事務所の解約、人員の再編。赴任者の削減でご帰国をされた方も多い。これを機に自社独自で米国事業を遂行するのではなく、米国企業や進出している異業種/同業種の日系企業と合弁/コンソーチアム、提携等で赴任者を最低限に抑え、盛り返しを見せている方も見受けられる。この様なケースは目的と人員の責任が明確で、米国流のインセンティブ制度を導入された頼もしい企業もいる。
新たな試み M&A
弊社では様々なM&A案件のご連絡を頂きく。米国内で探されている企業案件の例を挙げる。
買収:人材派遣企業、半導体調査会社、研磨技術の会社、倉庫、
アニメ系販売会社、物流事業、貿易ライセンス保有会社
売却:メディア系企業、新聞社、アパレルブランドと店舗、
飲食店、賃貸契約、事業の債権、売り上げの回収額など
米国では様々なものが売買され、市場が存在している。事業で回収が困難になった回収金額や、会社の債権、機材、部署、事業特許、ノウハウ、人材も事業とパッケージにするケースも。
売買の条件も様々な交渉があり得る。