スピード経営の時代、本社から赴任者を数年送る人件費投資時代に収れん

赴任者は、現地に慣れるまでに1年、仕事で意思疎通が取れるようになるのに早くて2-3年、仕事で貢献できるまでに3-6年掛かると言われて来た赴任者時代。50年代~90年代初頭までの企業米国進出の常識が変遷してきています。欧米流の現地雇用に任せる方法もありますが、日系企業は得意としない傾向があります。
ここ10年で目立ち始めた手法が『赴任者を送らない、現地支店・法人の運営』です。

ビザの取得が困難になっている

支店・現地法人を登記後、赴任ビザをスポンサーするに当たって、様々な書類 / 証拠 / 金銭の準備が必要です。資金力を持ち合わせ、長期的なビジョンを持った会社であれば良いのですが、その余裕がない企業に取っては、非常にハードルの高い庶務です。申請後に質問状を受け、時間と費用が膨大化したり、場合によっては申請後却下されるケースなどもあり、ともすれば登記自体が水の泡となります。
最近非常に増えているのが、本社からの長期滞在や頻繁に米国を出入国するための渡航Bビザの取得です。日本で会社勤めをしていなくても、個人で様々な事情とシナリオを説明できれば取得が可能なビザでもあります。最長10年有効。一回の滞在は最長6カ月です。
(米国内での就労が不可)ビザなし、あるいはこのようなBビザを本社の数名が取得され、ローテーションまたは年功に応じて変更していくというやり方を取り、現地法人・事務所を運営(人材派遣、サポート会社、会計士等に本管理を委託)するケースが目立つ昨今です。弊社のお客様でも急増しております。

支店/支社(現地法人)の簡素化

登記は簡素化、資本金も小規模に抑え、必要最低限で運営でき、赴任者の給料・複利・保険等の必要性もないので、費用も抑えられます。
(銀行口座等必要庶務は手配)
米国での取引先に対しては現地法人も存在していることから信用もあります。中でも貿易会社は特に有効活用ができます。商品の出入荷庶務/検品/Purchase Order/Invoice等々の庶務は外注することで対応。
今まで通り、本社と米国の顧客・購入先と折衝、あるいは外注先に連絡、見積もりの取得、発注、受注をされ、米国支社を通じて取引(貿易)が可能です。従来仲介会社先に頼り利益が圧迫されていた方々の利益率が上がったケースが多く見受けられます。

貿易/調査/取引等の外注→的を絞りM&A

弊社ではこのような動向を受け、数年前より貿易のアウトソーシング、購入の代行や販売の代行業務等を行ってまいりました。資金の管理、在庫の調整、経理、帳簿付け、ケースによっては営業や調査、展示会参加代行等まで行っております。先行きが見えない試みで人材を送り、経費を負担、本社での時間のロスを考えると、現地でアウトソーシングをすることで効率化を狙う会社様が年々増加しているのが事実です。
上記を経て相手先を絞り込み、ゆくゆく会社や事業を丸々買収し、そのタイミングで始めて赴任者を送り込むケースは非常に効率的と言えます。
その後は経営者にインセンティブを与え、現地幹部に任せて、諸外国の権利を持ってアジアに利権を写して、その買収資金の元手を回収する。というシナリオは理想と言えます。
2014年12月12日 J-Weekly 1150号 広告より