会社を辞める。辞めさせられる。

会社を
辞めたい・辞めさせられる

コロナ禍で様々な事態が企業、産業、地域、国で起きている。どこでも解決策の正解はなく、週/月単位で大きな舵取りを迫られ、狭き道を踏み外すと、存亡の危機にまで至る事態が続く。以前の様に気軽に日米間を往来し、日本本社と米国子会社・支店間の情報を共有する事も容易にできなくなり、ストレスが溜まる事態に陥っている。これを機に” 会社を辞める” 相談が増え始めている。がしかし、不安がその気持ちを上回る。

辞めたい
辞めたい理由は様々だ。家族を持っていたり、赴任で米国に在中している方々には安易な理由では自分を説得できない。複数の30~40代の方々から伺った話からは・・日本に居れば、
1)やりがい、2)組織に所属している安堵感、3)報酬、
が、在職続ける主な理由なのであろう様が見受けられる。
しかし米国に滞在中の方はそれに加え、4)滞在ビザ、
3)子供の教育、4)奥様の生活、5)報酬+年金(将来の保証)、の理由が浮上する。
では果たして(例えば)5億円($4.8m)の保証があれば、全ての悩みは無くなるのであろうか?と言う極論に至る。5千万円、1億円ではどうか?など、少々ワクワクする悩みを夢見る事態に陥るが、この様な”美味しい” 話は無い。
30代:であれば(米国で)離職をお勧めする。何が理由であっても”辞めたい”理由が在職続ける理由を上回れば辞めるべき。年齢的にその苦労や重なる失敗などは、気力と若さで乗り越えられる。周囲(家族、配偶者)に“迷惑をかけないで”という事が重要だ。
40代:余程MBOやMBIの事業と組織管理能力のある方でなければ、40代後半の方はお勧めしない。40代前半であれば最後のチャンスと捉えるべき。
30代と40代と言う区分けは、米国での就労人口分布に起因する。米国優良企業の幹部平均年齢は45−55歳だ。要は40歳前後で就労地位がほぼ決まる社会構造であるという事。
一方日本では同年齢帯は50代後半となる。世の風潮に逆行しても自信がある方は年齢問わず辞める方もいらっしゃるし、その後米国で病に襲われた方などもいらっしゃるので注意は必要だ。現在の年収額が、本年度+来年度も取得できる確約があれば勇気は出る事だ。問題は、A)楽観視していないか?、B)来年度になった際のその翌年の報酬までも見えるのか? である。これは大企業の社長であっても、利益の確約はできないのであるから辞めても辞めなくても同じ。と言う論理に至るのではないかと思う。

辞めさせられる
辞めさせられる様な事態の背景には、日米間で大きな違いが存在する。広義的に見ると(余程の方でない限り)個人を責める傾向は米国では少ない。それよりも、その部門や事業の撤退で従事者を解雇すると言う判断が主となる。なので米国ではその”事業を拾う神”が台頭すればさらに報酬アップで雇用につながるケースがある。
一方、日本では”その人”個人を辞めさせる、と言う風潮は未だに消えていないようだ。誰に付くとか(派閥)、自身の意見を封じ込めることでその場を凌ぐ、と言う風潮は日本の企業文化からは10年−15年、暫く抜けない事だろう。
今の50代(バブル期卒世代)が社会から、完全退職しないと世界に通用する自由で公平な発想は日本社会では受け入れられないだろう。
自身がその会社・社会から居なくなった時、その社会が困るか?、楽になるのか?、自分にはその社会での存在価値があるのか?、が全ての結論だ。辞めさせる側と辞める側とでそれが常に一致しないからこそ、”離職”と言う事態が起きるのである。米国ではそれを明確に幹部が通達する。

”辞める” と言う事と ”辞めさせられる” と言う事は結局同じだ。自信がある人、仕事ができる人、などの違いではなく、全てを冷静に気付き、自身が世でどう価値に繋がるか、の判断のみである。

Venture Capital, Private Equity, M&A, MBO (Management Buy Out), MBI (Management Buy-In)は全て欧米の思想が世界の常識的な産業にまで発達した。
コロンバスの米国大陸発見は大航海時代の大きなVenture Capital事業の結果である。組織に頼らない思想こそが日本が良い方向に変わる必要な文化である。