選挙後の株価の上昇/債券の売(金利高)、ドル高、貿易の先行き不安、不法滞在者の追放宣言。

1月20日の新政権発足に向けての不安材料が日々報道されています。トランプ氏はビジネスマン。国、国民、貿易国と商売の発想で政治戦略を立案。強いアメリカ=『双子 (貿易/財政) の赤字』の解消に向けた国の黒字化。キャッシュを生む国つくり政策に向け、各々の戦略が我々に与える影響を予測します。国益にならない在住者、外国籍企業、規制等には大きなメスが入ると想定されます。

今後の為替はドル高へ

~貿易事業への影響~
強い国には強い通貨が求められる。選挙直後にドルは対円で約2~3%上昇、現在は109円台を付けています。その後ドル高基調が続くと予想。輸入規制を関税で強いようと宣言しているトランプ氏の急激な輸入インフレ緩和策はドル高で輸入の購買力を強める事。1ドルが円で100円から20%上昇し120円となり、輸入関税が20%課せられれば損益は相殺されます。米国は輸入税で規制ができ、しかも増税となります。米国から輸出を主としている日系企業にとっては変わらずではあるが、新政権の根本は、海外からの輸入規制→米国内製造へ転換する企業を国益と見ています。逆に米国から輸出を主としている在米日系企業は米国製品を買う輸出業は新政権に取って大歓迎。ただ、利益をどの程度現地法人に落とし、どの程度法人税を払っているかが次のビザにも影響をあたえることとなるでしょう。

ビザと永住権

米国で約1200万人(100人に対し約4人)在住していると言われている違法滞在者。早々にその10~20%を強制退去させると確言されています。不法滞在者の賃金は法外に安い為、実行されればその後、賃金インフレ、雇用の動向を視野に、その比率を30~40%増やすと予想されます。

『就労ビザの規制はどうなるのか?』

国益に繋がるビザであれば、発行/滞在の延長は友好的に見られよう。その例としては、利益が出ていて税金を高い率で払っている、資本金が多く、多額の投資、雇用を生み給料・賞与が多額に払われている。あるいは米国企業にお金を落としている、利益が出ていなくても潤沢な資金の流動性が高い(=お金を回している事業)が “ビザ取得での優位性” となるでしょう。
過去においては、社長格での永住権取得は1年内で取得ができた。通常のビザからの取得は3~5年。それが今後数年は余剰の時間を要す事となり、難易度も増す事となる。上記のがそれを加速させる要因となり得ます。

輸入・輸出への影響

強いアメリカとは、1-雇用、2-消費、3-インフレ が軸となります。それに対し日系企業が安心して米国で運営維持する為には ① 採用/製造/技術開発② 報酬/賞与増/安定した雇用/休暇/社会保障③ 住宅/車、耐久財の購入増 が重要となるでしょう。
新政権は米国内での製造/産出を重要な戦略の一環としています。日系企業にとり、車/食材/精密品/家電/建設財等々の輸入が規制される傾向に向きます。米国内での米国人による製造や研究の人員研修教育を強いられることとなるでしょう。
日系企業はアメリカ国内で購入/製造(外注)へ徐々に転換できうる現地法人の経営策を検討する必要があろう。質/機能が多少落ちてもアメリカ人はMade In America品を優先して購入することは間違いがないことでしょう。
“雇用を生み、給料で物を買う、住宅は値上がり耐久財も買われる。そのサイクルを大きくすることが ”強いアメリカ“ とする政策。
北米自由貿易協定/NAFTA(Noth American Free Trade Agreement), 環太平洋戦略的経済連携協定/TPP(Trans-Pacific Partnership)の規制/撤廃で日本は勿論、カナダ/メキシコ産も制限されのではないでしょうか。飲食も米国で受け入れられる食材に変換していく事となりかねません。CA州内陸の日系農家業も日本産に負けない良い作物の栽培を日々創意工夫し育てています。

変革のスピード

前共和党ブッシュが選任され就任した年には、マニュフェストの一環であった減税は即決行。下院/上院を即経て約10万ドル程の年収の世帯には約$500程のチェックが発送され、その年の消費は好調となった。今回はそれ以上のスピードで進められることでしょう。
また下院/上院、共に制した共和党。トランプのビジネス交渉術で同党の人員を説得、様々な法案が議会を通過するには然程の時間を要さないでしょう。

◉ 日系企業のビザ取得/延長は早々に難しい局面を迎える

◉ 輸入促進/国内品割安感

◉ インフレ/金利高

◉ 雇用促進

トランプ氏は2年後の中間選挙、4年後の任期を視野に1~2年内の経済数値/財政収支/貿易額等の通信簿で国民にその成績を判断させるのではないでしょうか。“President ELECT”であるトランプ時期大統領はアジア・欧州・南米が不況に陥っている中での米国益紛争の妥協は無いと受け止めるべきと考えらえます。

日系企業の米国で新たな経営手腕が迫られています。

2016, 11/18