Category: 米国子会社・支店進出 立ち上げ/進出情報

2022年5月15日

東京証券取引所 vs. アメリカの主証券取引所 2022年4月より、東京証券取引所(東証)での上場基準が変わった。東証は今までの市場第一部、市場第二部、マザーズ及びJASDAQ(スタンダード・グロース)4つの市場区分を変更に踏み切った。東証一部上場企業の数が増えすぎて、日本の最上位市場として質の低下が起きていることが、その変更要因とされている。東京証券取引所が公表した資料には『国内外の多様な投資者から、高い支持を得られる魅力的な現物市場を提供することを目的として、3つの市場区分に見直す』と記載されている。 [ 東京証券取引所の市場区分 ] プライム市場: 流通株式時価総額100億円以上(旧一部市場は250億円)、 スタンダード市場: 流通株式時価総額10億円以上、 グロース市場: 流通株式時価総額5億円以上 (東京証券取引所の上場企業数は約3,800社2021年9月時) 今回の東証の改革は、『世界に競合できうる市場に改革をする。』という事が目的らしいが、ただ上場価値基準を緩和したように見えてしまう。時価総額以外の規定は多々あり、上場市場を下方修正する企業も増えてはいるが、実際再編で何が変わるのであろうか。海外投資家にとっては、逆に弱体化した日本の証券取引所(企業価値)の実態を、変更基準と共に公表した様な改革となっているのではないだろうか? [ 米国の証券取引所 ] 1.N Y S E ( New York Stock Exchange ) ニューヨーク証券取引所 1792年設立された世界最大の証券取引所。NYSE Arca、NYSE Americanと区別するため、メインボード(Main board)とも呼ばれる。多くのグローバル企業が個別企業株を中心に、約2,800社前後の銘柄が上場している。上場審査が世界で最も厳しいと言われており、上場銘柄のほとんどが大型の優良企業と言える。株式時価総額は27.2兆米ドル強(2022年3月現在) 2.N Y S E Arca 旧アーキペラゴ証券取引所 アメリカ初の電子証券取引所 / ECN(1997年に認可を受けたオークション方式で株式を取引する電子取引システム)である、アーキペラゴ(Archipelago)が前身。上場投資信託(ETF)の取引において、米国トップの取引所で、約8,000社前後の銘柄を電子的に取引できる市場になってる。NYSEとは上場基準が異なるため、新興企業が中心に上場している。 3.N Y S E American 旧アメリカン証券取引所 1921年に設立された歴史ある証券取引所で、株式(主に中小型株)、オプション、上場投資信託(ETF)といった金融商品を幅広く取り扱っているのが特徴。中でもETF/個別企業株を中心に約8,000銘柄が上場している。 1993年に米国内のETF先駆けとなったS&P500指数を対象としたETF(SPDR S&P500[SPY])を上場した。2004年にNASD(全米証券業協会)と合併後、2008年にNYSE ユーロネクストからの買収、NYSE Alternex USと改称、NYSE Amexに再度改称。2012年にNYSE MKT、2017年に現在のNYSE Americanへと改称された。 4.NASDAQ ( National Association of Securities Dealers Automated Quotations) ナスダック証券取引所 1971年に全米証券業協会の主催で世界初の電子株式取引所として開設された、世界最大の新興(ベンチャー)企業向け株式市場。ハイテク企業が多く約3,000社が上場。電子取引の拡大で80−90年代に急成長をとげた。コンピュータシステムのみで運営されるDealer(マーケットメーカー)の相対の取引所であるため、NYSEのような立会場は存在しない。本来は店頭とも称するべきではあるが、証券取引所として称されている。ナスダックの上場企業に成長力があるIT企業が多く、大手IT企業も上場している。(アルファベット/GOOGL、アマゾン/AMZN、アップル/AAPL、ネットフリックス/NFLX、など) 5.OTC Market Over-The-Counter Market 店頭取引市場 ニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダック(NASDAQ)などの米国主要取引所に上場していない店頭(OTC)取引銘柄を売買する株式市場の一つ。上場企業数では約12,000社以上の会社の株式が取引されている。上記証券取引所の準備市場として位置付け。継続的な監査済み財務諸表の開示等が義務付けられている。 店頭市場で企業再編・上場再編をする目的として活用されるケースも多く、OTCではさらに主に4基準があり、時価総額、黒字赤字、債務超過、株主数、時価総額など監査も不要の基準もあるために、リバースマージャー上場、SPAC特別買収目的会社の上場先としても活用される事が多い。時価総額は$10,000程度から上場もしているが、流動性が低い企業も多数存在。​​ [ 日本株式、市場の今と将来 ] 規模・上場数を見ても比較にはならない。バブル期には世界の上場時価総額で上位50社の内30社程を日本の企業が誇った時代があったのが幻のように見える。起因は日本の国力・市場規模・デフレ・人口減少が原因にある。さらには産業の空洞化、中高技術の海外移転。超高度技術を中心とした産業の一体感が確立できないまま、デフレ市場が30年以上も続いている。国内生産・産業が排出する物は全てローコスト低価格で販売。優良企業は社員の給料も上げず社内留保を年々増やし、世界に通用するべき先行(技術)投資も進まない。株式を交通に置き換えると、規制を改革(緩和)しても“交通量”と“通行車両種”を考え直さなければ日本の有価証券市場は新興市場に陥ってしまう。

2021年10月18日

トランプ政権からバイデン政権に変わり、新型コロナウィルス対策も一段落つき、 これから経済再開に向けて、アメリカ市場は活況を取り戻しつつあります。 コロナ後の成長戦略の一つとして、世界トップの経済圏であるアメリカへの進出を検討する事業者様も多いかと存じます。 そこで、本記事では弊社の20年の実績をもとに、アメリカの会社設立の流れ、ポイントを徹底解説していきます。進出形態・進出州の選び方はもちろん、会社設立にかかる期間と費用の目安、そしてビザ取得の際に必須となるビジネスプランの作成のポイントも細かくご紹介しています。 米国での会社設立を検討されている方のご参考になれば幸いです。   アメリカ進出3つのリスク 会社設立のポイントの詳細に入る前に、アメリカ進出のリスクについてご紹介していきます。 これまでの弊社の経験からすると、日本からアメリカに新規で進出し、思うような結果が出せるまでには5年以上、現地の会社・専門家と上手く協業ができたとしても、2〜3年程度はかかります。 では具体的なリスクとしてどのようなものがあるのでしょうか。 大きく次の3つに集約されると考えております。 1. 日本との文化の違い・多様性 United Statesという名前の通り、アメリカは他人種・移民が集まる国。そのため、アメリカ全土で共通するような単一の常識がほとんどありません。 アメリカという国単位で物事を見るのではなく、その場所・企業・個人文化を読み解くことが米国での成功につながります。 2. 日本本社がついていけない現地のスピード感 アメリカ事業の決裁権を日本本社が握っている場合、軌道に乗るまでの期間はさらに長くなります。 判断をする方が日本の常識では、米国での市場の速度に付いて行く事は難しく、即決できるスピード感と状況に応じた予算配分が成功には欠かせません。 3. 駐在員・赴任者のビザ取得の難しさ アメリカ赴任者の長期就労ビザ取得は年々難易度が上がっています。 ビザ取得の難しさはトランプ政権が終わった今もそこまで大きく変わりません。 実際に、会社登記はしたもののビザが取得できずに米国事業が開始できない会社も多くお見受けます。 進出の初期段階では可能な限り出費を抑えた拠点立上げが重要となりますので、例えば、いきなり長期の赴任ビザ取得を目指すのではなく、まずは長期出張のビザを取得し、その後に長期の赴任ビザに変更することが効率的です。 詳しくは以下の「ステップ4:ビジネスプランの策定」にて解説しますが、移民局に通用する事業計画作り、事業の必要資金やビザ取得申請時に見せるべく資金は十分かなど、堅実なビザ取得の計画作りと、却下された際のリスクに備えておく必要があります。 アメリカでの事業運営の上で駐在員のビザは常に重要な課題。ビザを考慮した事業計画作りが必要。   これらのアメリカ進出リスクを低減するために、米国現地の会社をM&Aしてアメリカ進出をするという方法もあります。 M&Aを活用したアメリカ進出のメリット・デメリットをご紹介していきます。 M&Aを利用したアメリカ進出のメリット・留意点 アメリカに新規進出をする際に、必ずしも自社で米国子会社を新規で設立する必要はありません。M&Aを活用してアメリカ進出を行うことも検討すべきポイントです。 M&Aのメリット1: 米国事業の先行きが読みやすくなる アメリカ現地の会社を買収することで、市場参入が早期に実現します。 買収後、経営者や従業員を引き継ぐことで、新規雇用やゼロからの組織づくりは不要。 買収先の会社の売り上げも本社と連結計上ができますので、財政面でも先行きが読みやすくなります。 重要なポイントは本社から管理をする人の経営管理能力。また買収後が肝心となります。 M&Aのメリット2:日米双方向の拡販が狙える M&Aをすることで、日本本社の製品やサービスを販売する米国市場のルート・物流ネットワークの確保、そして必要な許認可・ライセンスがまとめて手に入ります。 同時に、買収先の会社の製品・サービスを日本市場にて販売することができ、会社全体の売上・利益の拡大が狙えます。 > その他のアメリカM&Aのメリットはこちらのページをご参照ください。 M&Aの際に留意すべきこと 一方で、M&Aを行う際にもリスクが伴います。 特に「アメリカでのM&Aは5件に1件しか成功しない」と言われており、特に文化が大きく異なるアメリカ企業の買収を行いますので、そのリスクは大きくなります。 以下に、アメリカでM&Aをする際に押さえておくべき留意事項の一例をご紹介します。 (※アメリカM&Aのリスクや成功の秘訣、具体的な事例はこちらの記事をご参照ください。) [留意すべきポイント] 殆どの事業で買収先の人員が退社した際には価値が薄れる事。 人員を保持する際の経営案を保持して買収に望む事。 駐在員を含めた従業員インセンティブプランを初日から持って会社と向き合う事。 M&Aの際は各分野で専門家の知見を仰ぐことは重要。税理・会計・法律・業界等々、米国でのM&A後の管理は、経験・実績がある専門家の支援は不可欠。   専門家との二人三脚でM&Aを行うことで、失敗する確率を少しでも下げることができる。   ここまで、アメリカ進出のリスク、M&Aの可能性について見てきました。 ここからは詳細にアメリカでの会社設立の流れ、具体的なポイントをご紹介していきます。 アメリカ会社設立の13ステップ アメリカでの会社設立の流れと各ステップでのポイントをご紹介する前に、 大まかな全体感をお伝えするために、アメリカでの会社設立の際にかかる期間の目安と費用の目安をご紹介します。 また、会社設立に関して、専門事務所あるいは弁護士を通さず、自分自身で登記をすることもできますが、これまでの経験上、必ず問題は起きるのでおすすめはしません。 (※本記事も法的なアドバイスをするものではなく、あくまで参考情報としてご覧ください。) 米国会社設立にかかる期間の目安は2〜4ヶ月程度 アメリカでの会社設立にかかる全体の期間として、必要な情報と決断すべき事項が決まっていれば登記自体は1〜3週間で完了します。 ただし、これまでの経験上、実際には必要な情報収集と決裁にかかる時間、つまりビジネス判断・本社の稟議・採決に時間がかかります。これから詳細を固めていく場合は、早くても半年程度の時間の余裕を見ておく必要があります。(※少数オーナー企業であれば1〜2ヶ月程度) 米国会社設立にかかる費用の目安は3,000〜6,000ドル程度 次にアメリカでの会社設立にかかる費用として、アメリカの現地法人(※)を登記する場合、登記簿・定款・役員・株主議事録等々と庶務が発生しますので、平均的に3,000〜6,000ドル程度。 一方、支店(※)の登記は庶務が殆ど簡略されるので平均的に費用は3,000〜4,000ドル程度。ただし、こちらの費用は登記後の事業に必要な庶務は含まれていないので注意が必要です。 ※アメリカで会社設立をする際に一般的な選択肢として、上記の「現地法人」と「支店」があります。詳しくは次の「ステップ1: 進出形態の選択」の箇所でご説明します。 上記の費用は株式の発行、届出の有無などで変動します。   弁護士によっては細やかな庶務をしないケースと株式の発行を省く場合もありますので、費用に含まれる項目をご確認の上ご契約されることをおすすめします。 また、登記をしたからと言って事業が即遂行できるわけではありません。様々な届け出、認可、ライセンス、保険が必要となります。事業によって異なるので、必ず専門家に相談することが必要です。 さらに登記後、雇用/会計/法務等々の会社の運営維持が発生します。 運営維持に関しては、現地の企業運営の経験者(アドミニストレーター)スタッフの雇用、もしくは専門家に外注する方法があります。 雇用であれば年収$6万程度から、専門家/社外注であればおおよそ年間$4〜5万ドル程度が相場でしょう。昨今は管理業務のために駐在員を送ったり、現地雇用はせず、現地専門家と組んで効率的に米国拠点を運営される日系企業様が目立ちます。詳しくは是非相談ください。 会社の運営を行うアドミニストレーターを社内で雇用すると、コストがかかる。初期進出時は外注する会社が多い。   それでは、具体的に各ステップについて解説していきます。 ステップ1:進出形態の選択 アメリカでの会社設立の最初のステップは「進出形態の選択」です。 進出形態には大きく以下3つのパターンがあります。 現地法人 支店 駐在事務所   米国への事業展開時に再確認をすべきことは、進出の目的。つまり販売、仕入れ、本社支援、調査、研究などです。目的次第で登記の形態の選択肢は変わります。 進出形態 活動内容 責任所在 現地法人 営業活動含む 全ての企業活動 アメリカ子会社 支店 営業活動以外のほぼ全ての企業活動(※) 日本本社…