外務省が実施した2020年度「海外進出企業実態調査」では海外に拠点を持つ日本企業の総数(海外拠点数)は約8万拠点という結果がでており、2019年まで増加傾向にあったが、コロナの影響で2020年度は停滞している。国別の拠点数調査では、アジアに日系企業全体の約70%、北米約12%、3位以降は欧州、南米、中東である。

北米地域別

アメリカ国内でその地域を見てみると、この10~20年で変化が見られる。長年ニューヨーク、ロサンゼルスが中心地として目立っていたが、昨今ではイリノイ(シカゴ)、アトランタ、テキサス州地域の増加が目立つ。ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコは引き続きその比率は高く、日系企業が集中はしているものの、その内容が激変していることに気づかされる。金融、ハイテクから、製造、販売、穀物党へのシフトが傾向として上がる。金利の低下やブローカレッジ手数料の金融世界から、ヘッジファンドやプライベートエクイティーの台頭で日系の金融企業が北米での勝算が見込めなくなっている。また高度技術が求められる北カリフォルニアのサンフランシスコやシリコンバレーでは、その高度な技術と交渉力が劣り、市場を失っている。アメリカの技術を求め、投資あるいは日本へ持ち帰るソフトバンク流の事業が目立つ。ロサンゼルスは輸入の拠点としての地位は引き続き高い。(食品、メーカー、物流など)

アジアは製造拠点、北米/欧州は販売市場

海外拠点とは日系事業主にとってはやはりアジアが殆どある。何よりも原材料や人件費の圧倒的な値の差位で先進国との利益差が埋める拠点としては欠かせない。しかし今後も含め、政治/貿易リスクは避けられない。
欧州EU、米国(NAFTA)、昨今のQUAD(四カ国)、AUKUS(三カ国)の連携で、主に中国製造→先進国輸出の傾向を止める動きが我々を苦しめる。誰でもどこでも作れる製品の大量生産はアジア企業に任せ、先進国(主に日本企業)は川上/高度技術の伝授/指導/利権供与が理想である。
日本でしか作れない物、日本人にしか出来ないものは、世界に数多く存在する。西洋市場に合わせるのではなく、東洋の技術を西洋で高く売る発想である。
日系企業の北米進出の多くは、土地と人件費の安い地域に製造拠点を持っている。製造工場を外注して生産をする時世である。世界の(稼働率悪化で企業は手放す)工場を買取り、自社メーカーに拘らず、製造を業種毎に集約化し、またその事業を売却して大儲けをする投資家ファンドの時代である。製造業のラインを読み熟し、儲けネタとするファンドである。